米国や欧州が公的資金投入へ

金融危機の処方せんらしいが…なぜ銀行に「資本注入」するのか

2008.11.20 THU



写真提供/時事通信社
底なしの金融危機を克服するために、欧米各国が金融機関への「資本注入」に乗り出した。震源地の米国の場合、投入される予定の公的資金はじつに2500億ドル、日本円にして約25兆円。そういえば日本でも、90年代後半から03年に起きた金融危機のさい、政府が計12.4兆円もの公的資金を使って資本注入をし、大手銀行の破たん危機を救ったことがあった。

しかし、ふつうの企業が多額の損失を出したからといって、国が公的資金で救済してくれたという話は聞いたことがない。なぜ銀行などの金融機関だけが特別扱いなんだろう。なんで「資本注入」が必要なのか。

今回の金融危機では、住宅ローンや金融商品の多くが焦げつき、金融機関が多額の損失を出している。その損失があまりに大きいと金融機関は「資本」を取り崩して穴埋めしなければならない。資本とは安定した経営をおこなうための元手のことで、返す必要も金利を払う必要もない自前のお金。いわば経営の基礎体力で、金融機関には貸し出し総額に対して一定割合の資本を持つことが国際ルールとして義務づけられている。

この資本が減ると、どうなるか。経営体力がないとみられてまず株価が下落し、信用不安が広がる。そうなると預金者が店頭に殺到する「預金の取りつけ騒ぎ」に発展しかねないし、貸し出しも減らさなくてはならなくなり、貸し渋り、貸しはがしにつながる。経済は銀行がお金を貸すことで回っているので、金融機関の資本が減ると、市場経済全体が冷え込んでしまいかねないのだ。だから日本では、公的資金の投入は「国または地域の信用秩序に重大な支障が生じる恐れ」があるとき、と預金保険法で定められている。

ただしそれは、金融機関の経営陣にきちんと責任をとってもらうのが最低条件。米国でも経営陣が高額報酬をとっている金融機関を公的資金で救済することへの批判が根強かった。公的資金とは政策として国が投入する財政資金の総称だが、それは最終的に国民みんなの税金で負担させられる可能性の高いお金でもあるからだ。


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