業界別ビジネスモデルの謎

第1回 不景気に強いビジネスモデルとは?

2008.11.21 FRI

業界別ビジネスモデルの謎


イラスト/村田らむ やはりビジネスモデルの1つの理想型といえば、“小人の靴屋さん”。ただで誰かが働いてくれて、できあがったものを売れば、儲かることは間違いありませんね

「ビジネスモデル」ってそもそもどんな意味なの?



ビジネスモデル。この言葉が「楽して儲ける」という甘い野望をかなえるためのキーワードではないかと考えた私。
そこでさっそく、ビジネスモデルについて詳しく調査をすることにしました!

と意気込んでみたものの、冷静に考えてみると、ビジネスモデルって言葉としては日常よく聞くけど、そもそも意味がイマイチわかりません。「業種ごとの仕事のシステムのようなもの」だと理解していたんですけど、実は自信ないです。

そこで、まずはビジネスモデルの定義をしっかり確認ということで、『お払い箱のビジネスモデル』(洋泉社)などの著書もある経営コンサルタントの小屋知幸さんに聞いてみました。

「ビジネスモデルとは、簡単にいえば商売の方法です。なかでも儲ける方法というニュアンスが強いですね」

なるほど儲け方ですね。

「ビジネスが成り立つためには2つの条件があるんです。まず1つ目は『お客が存在すること』。個人・企業と、誰に対してモノを売ってもいいんですが、商売としてやっていくには需要がなければならない。つまり商売として成立するだけのお客が必要なんです。お客のことを市場(マーケット)といい、お客を獲得するための活動のことをマーケティングといいます。お客を見つけ出すこと、そしてお客のニーズをよく知ることがビジネスの第一歩です。もう1つは『コストが成立すること』。商品やサービスを、お客が買ってくれる価格で提供できることが大切です。コストを成り立たせるための仕組みのことを『オペレーション』といいます」

マーケティングは聞いたことあったけど、オペレーションは、ちょっとハードル高いなぁ、具体的にはどういうことなんでしょうか?

「たとえば『コーヒー1杯を100円で買いたい』という、お客のニーズがあるとします。そのニーズに応えるためには、コーヒー1杯の原価や、人件費、コーヒーを入れるパッケージなども含めて、100円以内で提供する必要がありますよね。これが120円かかっているにもかかわらず、100円で売ったら、商売(=ビジネス)ではなく奉仕になってしまいます」

はいはい。少なくとも80円くらいじゃないと商売あがったりだと。

「そう。その80円の予算でおさえるための方法論をオペレーションというんです。これがうまくいっていない会社は儲かりません」

きちんとマーケティングをして、優れたオペレーションを考える。ビジネスっぽい話になってきました!(笑)

「しかし儲けるためには、もう1つ気にしなくてはいけないことがあります。それは同業他社との競争です。ここでも、やはりオペレーションが重要なんです。さきほどのコーヒーの話であれば、コストを80円におさえるだけでなく、『味の向上』であったり『さらに安く』という、お客を魅きつけるための方法論です」

今までの話をまとめると、ビジネスモデルが成立するための条件は、マーケティングとオペレーションの2つ。それに加えて同業他社との競争に勝つためのシステムが確立していること。すなわち「儲けの法則」=ビジネスモデルということなんですね。
図版制作/辻章良 各業種別ビジネスモデルの大まかな配置図。現在のビジネスモデルは「モノを売る」「サービスを売る」と一概に区切られるものではなく、たいていの業種が、「モノ」と「サービス」の両方を扱っているのだ

「ビジネスモデル」を表す「B to B」とか「B to C」って何だ?



世の中には様々な職種や企業がありますが、儲けの仕組みが、それぞれ違うのでしょうか? そこでビジネスモデルの種類について考えてみたいと思います。経営コンサルトの小屋さん教えてください。ビジネスモデルをジャンル分けすると、どのようになるのでしょう?

「ビジネスモデルを大きく2つに分けると、モノを提供する商売(A)とサービスを提供する商売(B)に分けられます。Aを代表するのは自動車などの製造業や建設業。Bは、宿泊・販売・レジャー・金融・情報・教育など、一般的にサービス業と呼ばれているものですね」

言われてみれば、我々が普段、お金を払って買っているのは具体的に形に残るモノと、形には残らないサービスの2種類。

「それぞれの特徴ですが、Aが設備投資など大きな経営資源が必要で、大きな投資で大きく儲けるタイプ。対してBは、極端にいえば、人(従業員)がいればいい。サービスを提供するビジネスは、人の感性・知識・能力に大きく依存したものなんです。うまくすれば、小さな投資でも大きなリターンが期待できます」

う~ん、Aのモデルは経営資源とかお金がかかりそう。対してBのモデルは人件費がメイン。私がやっているような編プロという仕事は、Bのモデルってことですね。もしかしてやり方によっては儲かるのかも!

ところでビジネスモデルには、ほかに種類とかないんでしょうか?

「先ほどと別の軸で分ければ、川上と川下という考え方もあります。川下はスーパーや百貨店など最終消費者とじかに接するビジネス。対して川上は実際にモノを作るメーカー、そのさらに川上には原材料を生産する鉱業や農業などがありますね。一般的に川上と川中は、B to B(Business to Business)といわれる企業間取引のビジネスで、川下はB to C(Business to Consumer)、企業と個人の取引です」

おっと、デキそうな人たちの会話によく出てくるB to BとかB to Cって、そういう意味だったんですね。勉強になるなぁ~。

ビジネスモデルには、モノを提供するビジネスとサービスを提供するビジネスがあり、また別の分け方をすれば、企業間取引が主となる川上のビジネスと、消費者とじかに取引をする川下のビジネスがあるということのようです。

つまり具体的に言えば、半導体メーカーは、モノを提供する川上のビジネス。魚屋さんはモノを提供する川下のビジネス。学習塾はサービスを提供する川下のビジネスと分類できるわけですね。 今回は第1回ということで、ビジネスモデル全般について確認しましたが、
どんなモデルが儲かるのかという実例まではたどりつけませんでした。

一日でも早く、寝てても儲かる魔法のビジネスモデルを
探し出したいのに、こんなことではお話になりません!

そんなわけで、次回からは、この不景気でも儲かっていると噂の業界や、
お客が入っていなそうなのに一等地で店を構える街のハンコ屋さんの不思議、
行列のできる飲食店はどれくらい儲かるのかなど、
それぞれの業種ごとに具体例を見ていきたいと思います。

読者の皆さんの周りにも、ただでさえ不景気な現在、
正直なんでやっていけるのかナゾなお店や会社があるはずです。
あのお店の秘密が知りたい! とか、あの謎の会社の正体は? などなど、
素朴な疑問をお寄せください。

私が皆さんからの疑問を調査して、ビジネスモデルの謎に迫ります!

関連キーワード

注目記事ピックアップ

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト