欧州で人気の温泉リゾート地

平和の国アイスランドが“倒産”に追いつめられるまで

2008.12.04 THU



写真提供/Robert Harding/アフロ
米国を震源地に世界規模で広がった金融危機。そのあおりを受けて、アイスランドが破たん寸前にまで追い込まれたという。グリーンランドの東、一部北極圏にかかる人口31万の小国は、犯罪も汚職も少なく、常備軍すら持たない。さらには温泉も湧く、欧米ではバカンス先としても人気のある平和な国だ。

そんな穏やかな国家が、なぜ今回の金融危機の影響を受け、倒産寸前まで追いつめられたのか。東海大学文学部北欧学科で北欧の国際関係史・現代史を教える池上佳助准教授に聞いてみた。

「かつてアイスランドは、漁業を中心とした欧州では貧しい国でした。そこで漁業一辺倒の経済から脱却すべく、まずアルミ精錬などの金属業に活路を見出しました。アルミニウムの精錬には大量の電力が必要です。豊富な水力や火山の地熱を利用した安価な電力を使い、国際的な競争力に勝てる製品作りを目指したのです」

結果、大型プラントや関連工場がアイスランドへ誘致され、欧州からの投資も集まったことで経済は急成長を遂げたのだとか。

「一方で90年代半ばから、政府によって市場開放と経済の自由化が進められ、世界各国から流れ込んでくる投資マネーを活用すべく、金融立国として歩み始めました」(同)

ところが、あまりにも急激に景気が過熱したので、政府は政策金利を高く設定して、自国経済を落ち着かせようとしたという。

「当時、世界の金融市場は低金利時代。そんななか、高金利で政情が安定した北欧イメージのあるアイスランドの銀行へ投資資金が流入したのです。最終的に銀行の資産総額はアイスランドGDPの約10倍まで膨れ上がりました。しかし今回の金融危機により、投資先から資金を引きあげようと、マネーの流れが一気に逆流。それで銀行がやり繰りできずに破たんしたのです」(同)

今回の破たん騒動で、以前のような漁業国に戻るしかないとの声も自国民からも出てきているという。今後の経済の立て直しが注目される。


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