世界的な金融危機で叫ばれる

いま企業はどうして「増資」が必要なの?

2008.12.11 THU



写真提供/APImages
大手金融機関が数千億円から1兆円規模で増資の検討に入ったというニュースが流れた。そういえば、今回の金融危機で世界中の銀行が続々と巨額の増資をしたが、これはどういうことなのだろう。増資とは、株式会社が資本金を増やすために新株を発行すること。増資で資本を増強するということだ。

そもそも金融機関では、資本が経営の健全性と大きく関係する。自己資本比率は、その指標のひとつ。保険会社ならソルベンシーマージンだ。自己資本は純資産とも呼ばれるが、返済義務のないお金。だから、これが大きいほど経営は安定する。

ところが今回、この自己資本に大きく影響する出来事が起きた。自己資本に組み入れられていた株式の価格が急落したのである。個人投資家の場合は、売却しない限り実質的な損は出ないが、企業の場合はそうはいかない。それが「時価会計」の仕組み。企業の時価会計は、損失が出た分を損失として会計上の処理「損失処理」をしなければならない。これで自己資本が目減りしてしまい、新たに増資が必要になった、というわけだ。

だが、この「時価会計」、今回の金融危機では緩和が議論された。これは海外の金融機関に巨額の増資が必要だったこととも関係する。たしかに通常の取引においては、多くのプレーヤーの取引で決まる時価は本来の価値に限りなく近づく。だが、サブプライム関連商品のように、プレーヤーの参加がほとんどなくなってしまった場合にはどうなるか。取引が減り、時価が、必ずしも本当の価値を示すものにはならなくなってしまう可能性があるのだ。

今回の金融危機では、これがさまざまな金融商品において起きた。買い手がつきにくくなった商品の「時価」が暴落したのである。そのため、銀行は巨額の損失処理が必要となり、自己資本を激しく傷めてしまった。これが、金融機関の経営に甚大な影響を及ぼした。増資と時価会計。今後の金融危機の行方を見ていく上で、ぜひ覚えておきたいキーワードである。


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