ビジネスなのか? 社会貢献なのか?

宗教団体を母体とする学校はなぜこんなにあるの?

2009.02.12 THU



写真提供/時事通信社
昨年、読売新聞社が行った調査によると、日本人の72%は「何かの宗教を信じていない」そうだ。そんな宗教観を持つ日本人だが、意外に日本にはキリスト教や仏教・神道系を母体とする学校が少なくない。なぜ宗教団体は学校を運営するのだろうか。宗教社会学に詳しい東洋大学の西山茂教授に話を伺った。

「そもそも宗教から教育が派生したからです。仏教では経典の研究や伝承、キリスト教では新約聖書の正統的な解釈や思想を伝える学問的必要がありました」

すると当然、読み書きを教える必要がでてくる。それが次第に庶民にも開放され、算術なども教えるようになったわけだ。では、現在に連なる日本の宗教系の学校は、いつごろ広まったのだろう。

「明治期になりますね。まず、キリスト教の宣教師たちが布教の一環として、近代的な教育システムとセットでキリスト教系の私立学校を設立したんです。このようなキリスト教と教育の結びつきは、日本の既存宗教にとって脅威に映ったのでしょう。キリスト教系学校に触発される形で、神道・仏教系団体も学校を設立していきました」(同)

この時代に設立された宗教系学校は、1919年の大学令の施行とともに、少しずつ大学として認められていくようになる。となると、気になるのは経営面だ。宗教団体の重要な収入源だったりするのだろうか。こちらは、國學院大學神道文化学部の石井研士教授に聞いてみた。

「確かに学校法人と宗教法人は別法人なので、学校が上げた利益を教団に寄付することは可能ですが、学校経営はあまり儲かる事業でもないんです。あくまで、社会に対する貢献、あるいは自らの信仰にもとづいた教育を通じて個々人にどう貢献できるかが前提となっていますね」

もちろん布教したい気持ちもあるだろうが、日本では信教の自由が大原則。宗教色が緩やかな学校も多い。長い歴史的背景の上に、現在の学校運営のスタイルが築かれているんですね。


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