あわよくば出世する技術

第7回 雑談の上手な男になるには?

2009.02.27 FRI

あわよくば出世する技術


8万部に迫る武藤清栄先生の『雑談力』をはじめ、話し方や雑談の作法をレクチャーした本が、いま売れている。それだけ世間のビジネスマンは、自分の会話力に自信がないという証しか。同僚に差をつけるチャンス!?

上司や先輩、初対面の相手に無難かつ気軽に話しかけるには?



エレベーターで上司と2人きりになった時など、無機質な密室の雰囲気も相まって、なんだか気まずい思いを強いられた経験はないだろうか。

何か気の利いたトークでもできればいいのだろうが、何も思い浮かばずあたふたしているうちに、結局気まずい沈黙のまま目的のフロアへ――。

よくある日常の一幕で、とくに減点されるようなことではないものの、なんだか敗北感を覚えたりしないだろうか? 息を殺すようにしてやり過ごすより、如才なく軽妙なトークを展開できたらどんなにいいことか。

『雑談力』(明日香出版社)の著者、武藤清栄さんは、年間数百本の講演・企業研修をこなす経験から次のように証言する。

「年輩の人からすれば、どんなに些細な雑談であっても積極的に話しかけてくる部下には好印象を持つものです。とくに最近は、そういった日常的なコミュニケーションを苦手とする若手が増えています。仕事以外で上司に話しかけるのは、なかなか度胸が必要なことでしょうが、悪く思われることはまずありませんよ」

これは社内の人間関係に限らず、取引先など対外的なコミュニケーションにおいても同様。初対面の相手と名刺交換をしながら、軽妙な雑談でも展開できれば場は一気になごむはず。

では、まだ関係性の薄い相手との雑談には、どのような話題が向いているのだろう?

「一般的に最も無難なのは天気や場所柄の話題。『寒いですね、エアコンの温度、上げましょうか?』『あいにくの雨ですが、濡れませんでしたか?』『(弊社までの)道はすぐにわかりましたか?』など、無難な内容の中に相手への気遣いを織り交ぜられればなおいいですね」(武藤さん)

逆に、初対面の雑談としてご法度な話題というのもある。「政党批判、宗教、勧誘」は3大タブーであると武藤先生。

「たとえば政権交代などの大ニュースの直後なら、『政局はどうなるでしょうね』くらいの会話はまったくOKです。しかし特定の政党批判や宗教、儲け話の勧誘などは避けるべきです」(同)

しかし、「何か話さなきゃ」と焦るあまり、まったく話の種が見つからないなんて悪循環もありがちだ。

「そんな時は逆に、焦っている時の自分の状態を分析する、良い機会だと思ってください。肩がこわばっていたり、周囲の風景がまるで目に入ってこなかったり、それぞれ緊張している時の癖があるはず。それがわかれば、意図的に肩の力を抜くなど、緊張をほぐす対処法を知るキッカケにもなり、遠からずリラックスして話せるようになるでしょう」

その一方で、しょせんは雑談と割り切るのも大切、と武藤さんは語る。プレゼン会議などと違い、最悪、何も話さなくたってプラマイゼロなのだ。ならば、焦ってる自分をセルフチェックしてみる方が得策。

そう考えただけでも、なんだか気持ちに余裕が出てきて、気まずい間を効果的な雑談で埋められそうな余裕がが湧いてこないだろうか。
名刺交換は互いの個人情報交換でもある。もらった名刺を事務的にすぐしまわずに、じっくり観察してみよう。会社名、オフィスの場所、名刺のデザインなどなど、思わぬところに雑談の種が転がっているかもしれない!

雑談をさらに盛り上げる“本音”というスパイス



ビジネスマンたるもの、日常のちょっとしたタイミングにも、何か気の利いた話題を提供できる男でありたい。話題豊富な人間はなんだかデキそうな印象を与えるし、あわよくば周囲からの評価を上げるキッカケになるかもしれない。

「雑談を成功させるポイントは、ストロークとパンクチュエーションにあります」

そう語るのは、『雑談力』(明日香出版社)の著者、武藤清栄さんだ。

「ストロークとは、相手をはっきり特定させた前提で話すこと。『○○さん、こんにちは』など、そのつど名前を呼ぶのは典型例で、コミュニケーションはより深くなります。一方、パンクチュエーションとは句読法のことで、セリフに適宜、間や句読点を入れることで、ニュアンスをコントロールするテクニックです」(武藤さん)

同じ話題を振るのでも、ただ漫然と話すより、「『いやー○○さん、先日こんなことがあったんですよ』と相手の名前を添える効果は大きい。いちいち名前を呼ぶだけで、こちらもなんだか親しい関係になれた気がするから不思議だ。自然と、その後の雑談もはずむに違いない。

一方、パンクチュエーションとは小難しい用語だが、たとえば「僕の彼女はどうもわがままで」という口調と「僕の彼女はどうも、わがままでねえ」という口調、それぞれ実際に声に出してみてほしい。後者の言い方では、「わがまま」。つまりマイペースであるという意味合いが強調され、批判めいては聞こえなくなる。間の取り方ひとつでニュアンスをコントロールし、コミュニケーションに深みをもたせるテクニックだ。

そうした作法に気をつけながら、今度は話の種の探し方をレクチャーいただこう。武藤さんによれば、初対面の相手なら、受け取った名刺から話題を探るのが手っ取り早いとか。

「もし相手がちょっと変わった名前なら、『珍しいお名前ですね』。相手の住所が遠方であれば、『今朝は早かったのではないですか?』と気遣ってみせる。もし写真入りの名刺なら、見て感じたことから話題を広げていくことだってできますよね」(同)

なるほど、そういえば! 「珍しい名前ですね」は筆者(友清)も取材の際に実践され、まんまと故郷の話題にまで話が膨らんでいたような。

「相手の名前を見て、珍しいと思ったら素直にそれを伝えればいいんです。要は、少しずつ本音を混ぜてやると、雑談も広がりやすいですから。本音も使い方で高い効果を発揮します。たとえば、怖い上司と食事でもする機会があれば、いっそ『正直、部長はもっと怖い人だと思ってました』とはっきり言ってもいいくらいです。そのうえで『だから、こうして一緒に食事ができるのは、緊張しますがうれしいです』とでも言えば、関係は一気に打ち解けるでしょう」

ただし、あまり雑談のために気を張り過ぎるのも、かえってストレスになるので要注意、と武藤さん。皆さんも頑張り過ぎない程度に、上司や取引先との雑談にトライしてみては? 他人が喜ぶ話とはどんな話題でしょう。儲かる話? それともあっと驚くトリビア? うーん、前者はなんだかうさん臭いし、後者は雑学本などを読みこむのが面倒臭い。

そんなことを考えていたら、興味深いニュースが飛び込んできました。放射線医学総合研究所の研究結果で、人間は「他人の不幸」を聞くと、報酬をもらったりした時に活性化する脳の部位が反応するのだとか。つまり、「他人の不幸は蜜の味」は科学的に証明されたわけですね。

考えてみれば、自慢話なんて誰も聞きたくないし、どちらかといえば自虐ネタの方が話に乗りやすいもの。何か仕事上でエラーを犯しても、失敗談という話の種としてストックしておくのもいいかもしれません。転んでもただでは起きず、貪欲に出世につなげたいですね。

さて、引き続き皆さんからのご意見も大募集中! あなたの周囲で見かけた「デキそうな人」「好印象な人」の特徴を教えてください。その秘密をリサーチして、あわよくば出世する技術として共有しましょう。

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