売り上げ高は10倍なのに

フォルクスワーゲンがポルシェの子会社になったワケ

2009.02.26 THU



写真提供/APImages
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)といえば、自動車メーカーで世界トップ5に名を連ねる超大手企業。だが、この会社がなんと子会社化されたという。50%以上の持ち株を獲得したのは、同じくドイツに本拠を持つポルシェ。あの高級スポーツカーメーカーだ。だが、ポルシェの売上高はVWの10分の1以下。まさに小が大をのむ形になったわけだが、この背景が興味深い。

もともとVWとポルシェには深い関係がある。VWの名前を世界に知らしめた歴史的名車「ビートル」を開発したのは、自動車設計者のフェルディナント・ポルシェ博士。そう、ポルシェの創業者だ。近年もポルシェのRV車「カイエン」を共同開発するなど、親密な関係にあったが、今回の子会社化には実は意外な理由があった。

VWは1960年まで国営企業だった。民営化されたが、特殊な条件を記した法律が同時に施行された。「1株主はいくら株を持っても議決権は最大20%に制限される」というもの。世界的な業界再編の嵐が吹き荒れる中、VWが買収の脅威にさらされずに済んだのは、この法律のおかげだったといわれる。ところがEUの発足で事情が変わった。2004年、自由経済を目指すEUは、この法律の撤廃を求めたのだ。

国を代表する企業である。法律が撤廃されれば、他メーカーや投資ファンドなどによる買収や企業解体の可能性が出てくる。そこで登場した助け船が業績絶好調のポルシェだった。売り上げ規模がこれほど違うのに、同レベルの利益を稼ぐ高収益企業ポルシェ。資金力はある。VWにとって子会社化は買収防衛になり、ハイブリッド車などの共同開発をVWと続けてきたポルシェにも、子会社化は大きな魅力があった。

2005年からポルシェは静かにVW株を集め始める。07年には30%を持つ株主に。そして09年1月、VWにも大きなプラスとなる子会社化が相成ったのである。ポルシェの経営手腕でVWがどう変わるか。すでに関心はここに移っている模様だ。


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