公共事業の生みの親かも…

大不況の救世主と再評価「ケインズ経済学」の中身とは?

2009.03.19 THU



写真提供/IMF/AFP=時事
未曾有の経済危機のなか、注目されているのが潘基文国連事務総長が提案し、オバマ大統領も掲げる「グリーン・ニューディール政策」。1930年代にルーズベルト大統領が世界恐慌を乗り切るために行った大規模公共事業「ニューディール政策」になぞらえたものだが、その理論的支柱がイギリス生まれの経済学者、ジョン・メイナード・ケインズだ。彼は資本主義社会の不安定性を論証し、公共事業の重要性を訴え、世界中にセンセーションを巻き起こした。だが「最近まで経済学の世界ではケインズの理論は絵に描いたモチだと否定されていたのです」と語るのは、著書『容疑者ケインズ』でケインズ理論の検証を行った経済学者、小島寛之氏。

「ケインズは、資本主義経済では何もしないでいると慢性的な不況に陥るが、政府が公共事業を行って失業者を新たに雇用することで克服できると説きました。ところが、例えば政府が2兆円の公共事業を行うには、2兆円の税金を徴収しなくてはならず、景気対策として考えると結局、国民全体の所得を増やすという効果は理論上見込めない。確かに、不況のときに国債を発行して公共事業を行い、景気が良くなってから回収すれば景気循環を安定化できるという意見もあります。しかし、国債が大量に発行されると、国民は後で増税されることを見越して消費を抑えるのではないかなど、公共事業を行っても本質的な景気刺激効果は乏しいと批判されてきたのです」(同)

理論に様々な問題が発覚し、前世紀後半から地に落ちてしまったケインズの評価だが、サブプライムショック以降、経済学者たちはケインズを再評価し始めている。

「昨年後半以降の需要の落ち込みは、これまで主流だった自由主義の経済学では説明のできない事態です。これを説明できるのは、これまでバカにされていたケインズの理論だけなのです」(同)

100年に一度ともいわれる大不況の救世主として復活したケインズへの注目度は高まるばかりだ。


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