あわよくば出世する技術

第11回 人を喜ばせるピンポイント記憶術

2009.04.24 FRI

あわよくば出世する技術


最新刊『ホメ術入門』(グラフ社)で、日ごろのコミュニケーション研究の成果をふんだんに明かしている友利昴さん。「相手の苦手なものを覚えておけば、助け舟を出してあげやすい。ポイントは、相手に“助かった!”と思わせることです」とのアドバイスも

相手の「好き嫌い」を記憶し、スマートな気遣いを!



思いがけない人から「お誕生日おめでとう」とお祝いメールをもらい、驚きつつも感激した経験はないだろうか?

雑談の中で誕生日を口にする機会は時折あるが、それほど親密な間柄でもない人がそれをしっかり覚えていてくれるのって、なんだかうれしいものだ。何より、こうしたスマートな気遣いができる人ってカッコイイではないか。ぜひ自分も、上司や仕事相手にこうした気遣いを実践し、喜ばせてみたい!

でも、他人の個人情報をすべて暗記するのは、正直しんどい。できることなら「ここだけ押さえておけば十分」という、効率よく相手を喜ばせられる記憶のツボなんてないものか。

そこで『ホメ術入門』の著者、友利昴さんにアドバイスをお願いした。友利さんは日々、サラリーマンのコミュニケーション作法を研究し、その成果を複数の著書にまとめている現役会社員作家だ。

「私自身の体験上、ビジネスマン同志のコミュニケーションで効果を発揮するのは、好き嫌いに関する情報です。とくに相手の好きな物より苦手な物を押さえておくと、要所要所で相手を助けてあげられて効果的なんですよ」(友利さん)

たとえば取引相手の苦手な食べ物を覚えておけば、接待の場などでそれとなく助け舟を出してやることができる。偏食傾向を自分から明かすのはなんだか恥ずかしいものだけに、先手を打って「あ、○○さん。こっちは僕がいただきますから、こちらをどうぞ」と、さらりと取り分けに配慮してあげるのだ。きっと相手は、胸中で大きな感謝の気持ちを抱くに違いない。

同様に、お酒を飲めない人というのも、ちゃんと覚えておきたい。飲み会などで、「○○さん、こちらのメニューをどうぞ」と、さりげなくソフトドリンクのメニューを提示してあげられたら、気遣い上手としてイメージアップも図れるはず。

もちろん、嫌いな物だけでなく好きな物を押さえるのだって有効だ。とりわけ嗜好品に着目するのは効率的で、愛煙家の相手を全席禁煙のお店にエスコートしてしまうような凡ミスだって、この点だけピンポイントに記憶しておけば回避できる。

うん、子どものころから暗記が苦手な筆者でも、これくらいの情報ならばっちり管理できそうだ。皆さんも、ぜひお試しあれ!
今回の取材以降、さっそく名刺交換した皆さんに関する情報を、コツコツとメモしてみました。…もっとも、書きっぱなしで終わってしまっては無意味。次にこの人たちに会う前には、ちゃんとおさらいしておかなきゃなぁ

せっかく覚えた相手の情報どう使うのが効果的?



先日、仲間内での飲み会で、先輩に向けて「お子さん、今年から小学校ですよね? おめでとうございます」と如才なく口にしていた友人を見て、感心した反面、なんだか敗北感に打ちのめされてしまった筆者。先輩に子どもがいることは知っていたけど、年齢まではまったく気が回らなかった。

このように、人付き合いの上手な人というのは、相手の個人情報や趣味嗜好を小まめに記憶していることが多い。けど、こういう情報管理って、みんな一体どうやっているのだろう?

「コミュニケーションとは情報のやり取り。つまり相手に関する情報は多ければ多いほど良いわけで、私の場合、いただいた名刺の裏面には、その人に関して覚えているかぎりの情報を、その日のうちにびっしりメモしていますよ」

そう語るのは、『ホメ術入門』を著した現役会社員作家、友利昴さんである。

しかし、何でもかんでも記録しておくのは、不精な筆者には少々つらい。それに、あまり事細かに個人情報を覚えているのも、かえって引かれてしまうのではと、不安になってしまうのですが。

「そうですね、その人について知っていることを、何でもかんでもアピールするのは逆効果。たとえば、出会ってから何カ月も音信不通だった人に、突然誕生日にメールを送ったりしたら、かえって気味悪がられてしまうかもしれません。最低限の記憶で効果的な気遣いを演じるためには、持っている情報をどのよう披露し、相手にどう思わせたいのかを吟味することが大切です」(友利さん)

そのために重要なのは、相手との距離感を正確に把握しておくことだと、友利さんは語る。記憶した情報を、具体的にどう生かせばいいのかレクチャーしてもらおう。

「まず、相手の住まい。あまり細かく住所を尋ねるのは失礼にあたりますが、だいたいのエリア、沿線くらいを知っておくと、飲み会の時などに『○○さん、そろそろ終電ですよね?』という気配りが可能になります。そもそもお店選びも、相手の便利な場所にセッティングすることもできますしね」(同)

なるほど。うっかり終電を逃しそうな場面を救ってあげられれば、こちらの株もたちまち上がるかも!

「それから、相手が喫煙者であることを知っていれば、打ち合わせで喫茶店に入った時にテーブルに灰皿がなかったら、こちらから店員にリクエストしてあげるような気遣いも可能です」

社内の上司や先輩に対しても、こうしたピンポイント記憶術は有効だ。

「上司のその日のスケジュールをそれとなく押さえておくのもいいですね。午後から上司に外出予定があるなら、さりげなく検索して、『夕方から雨みたいですから、傘をお持ちになった方がいいですよ』とか、『○○線、事故で遅れているみたいですね』など、相手にとって有用な助言がしてあげられます」

つまりは、持っている情報を生かすも殺すも、立ち回り方次第なのだ。 二十歳を過ぎると脳細胞は少しずつ減っていくなんて言われてますよね? もしかすると、年々物覚えが悪くなってるような気がするのも、それが原因なんでしょうか。

しかし、まだまだ覚えなきゃならないことは山積みですし、友人の誕生日くらいは忘れずに「おめでとう」と言ってあげたい。せっかく頭の中にストックした情報は、できるだけ有意義に活用したいものですね。

さて、この連載も残すところあと一回。出世にまつわる皆さんの思い、今のうちにどんどんお聞かせください! また次回お会いしましょう。

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