スイスの銀行が顧客情報提出!

どうして今までスイスでは秘密口座が“売り”だったの?

2009.04.23 THU



写真提供/AFLO
ゴルゴ13も信頼して資産を預けているというスイスの銀行。顧客の秘密厳守が売りなのだが、その姿勢に異変が起きている。今年2月、スイス最大手のUBS銀行が米司法省の要求に応じ、脱税したと思われるアメリカ人顧客200名ほどの情報を提出したのだ。これまでも疑惑はあったのに、なぜいまさら。スイスの銀行を研究する明海大学経済学部の川村文子大学院教授に話を聞いた。

「このタイミングで秘密保持を問題にしたのは経済危機の影響でしょう。財政的に厳しくなったアメリカ政府は、スイスの銀行が保有する自国富裕層の資産を把握して、税金を取りたかった。もう一つは見せしめです。秘密口座を多数所有するスイスの銀行を問題にすることで、同じく秘密口座を持つタックスヘイブン(租税回避地)の国々に対して、今後は徹底的にやるという意思を示したのだと思います」

そもそも、なぜスイスの銀行は秘密保持が強固なのか。川村教授の論文『スイス銀行法─「スイス銀行の守秘義務」に関する財務的考察─』によると、秘密漏洩の罰則を、民法ではなく刑法で定めているのが理由の一つだという。実は、銀行の守秘義務違反を刑法で定めている国は非常に稀なのだとか。そして、もう一つの理由がナンバーアカウント(無記名口座)の採用。口座番号のみで資産管理ができるので、素性を知られたくない顧客の秘密保持に利用された。

しかし今回、その匿名性が失われると「秘密保持」に惹かれて預金していた大金持ちが一斉に口座解約ということにはならないのか? もしそうなったら、タックスヘイブンを経済基盤にしている小国は国自体が危機に陥るのでは?

「今すぐに流出する可能性は低いと思います。スイスは、脱税などの違法行為に関する情報は提出するが、守秘義務は守るというスタンスです。ただ、長い目で見れば、タックスヘイブンは縮小するでしょう」

ゴルゴ13も、今回ばかりは戦々恐々としているかもしれない。


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