BSEや鳥インフルの影響も…

世界的に需要急増!“魚食ブーム”のウラ事情

2009.06.04 THU



写真提供/時事通信社
さる3月、FAO(国連食糧農業機関)は「世界漁業・養殖業白書2008」を発表した。それによれば、2006年時における世界の水産品輸入額総計は過去最高額の約8兆7000億円。10年前と比べると、国別の伸び率はロシアが3.6倍、韓国が2.7倍、中国・スペインが2倍と、魚食文化の意外な世界的拡大を示している。

水産事情に詳しい政策研究大学院大学・小松正之教授は、その理由をこう分析する。

「たとえば、中国の魚介類消費量は80年代前半に1人当たり年間5kgだったのに対し、06年には27kgまで急増。所得向上でコイ、ソウギョといった淡水魚から、より高価な海水魚へ消費がシフトしているんです。また、ニシンやタラなどはロシアも含めたヨーロッパの国々が好んで食べる魚。こうした土壌にBSEや鳥インフルエンザの影響が加わり、健康食としての魚需要が増加したという背景もあります」

もちろん、食べ方は国によって異なる。生鮮マグロの仕入れ販売会社、トライ東京社長代行・林 弘二さんは言う。

「魚介類を刺身で食べる文化があるのは日本、韓国、中国ぐらい。アメリカは年間約6万トンのマグロを消費しますが、大半はステーキ用。また、ロシアやスペインなどは、原料を輸入して冷凍食品や缶詰などに加工する産業がとくに盛ん。こうした加工技術の進歩によって、これまで獲っても捨てていた魚種にも商品価値が発生し、全体的な消費量アップにつながっています」

ところで、こうした世界規模の魚ブームは深刻な問題もはらんでいると、前出の小松教授は指摘する。

「乱獲による絶滅の危惧です。日本近郊のマイワシはほとんど獲れなくなっています。一番危ないのはクロマグロやミナミマグロなどの高級マグロで、20年後には絶滅するという試算もあるほど」

ふーむ。世界的なブームを機に、資源としての魚についてきちんと考える時期に来ているようです。


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