知られてなくともスゴイ企業

第4回 「体脂肪計」の言葉を作った会社

2009.07.10 FRI

知られてなくともスゴイ企業


ガラス製の透明電極が先鋭的なBC-528SV。一度登録すれば、個人キーを押さなくても乗るだけで個人を判断してくれる自動認識機能を搭載(左)。体重、体脂肪、筋肉量、推定骨量まで計測できる最高峰の体組成計BC-612(右)

体脂肪計の仕組みとは?



タニタ。TANITA。
体重計や体脂肪計を持っている、もしくは購入を考えたことがある人なら、一度は目にしたり、聞いたことがあるメーカー名でしょう。

でも「ヘルスメーター」や「体脂肪計」という言葉自体をタニタが創ったと聞くと、驚く人も多いのではないでしょうか?
タニタ広報室の永塚隆彦さん、そうなんですよね?

「そうです。双方ともタニタが創って世に出した言葉です。ヘルスメーターは和製英語で、米国などでは体重計のことを『バスルームスケール』と呼んでいます」

そういえば、以前から疑問だったのですが、体脂肪はどのようにして体内の脂肪をはかっているのですか? なんとなく電極っぽいものが付いているのはわかるのですが、あれが重要な役割なんですよね?
お話をうかがったタニタ広報室の永塚隆彦さん。体脂肪計の仕組みをわかりやすく解説していただきました
「体脂肪は電極から流れる微弱な電流が体を通るときの抵抗値で計測しています。ちなみに脂肪の多い方が抵抗は大きくなります」

え、そんな単純な、電流の抵抗値だけで体脂肪はわかるのですか?

「いいえ。実際には無理なんです。個人の体脂肪、その他の体組成を正確にはかるには、DXA(デクサ)というX線を照射する計測方法が必要です。しかし、それは非常に高価な医療器具を用いなければなりません。それを簡易的に計測できる健康機器が体脂肪計なのです」

簡易的に計測とは、具体的にどうやっているのですか?

「具体的な数は企業機密なので言えませんが、弊社には年齢、性別、身長、体重別にDXAで計測した膨大なサンプルデータがあります。そのデータがすべて体脂肪計の本体に組み込まれていて、データと電流の抵抗値を照合し、プログラムが体脂肪を計算するのです。圧倒的なサンプルデータの蓄積が当社の強みですね。データ量が精度を高めるので、昔の体脂肪計よりも最近のものは精度が上がっています」

なぜ体重だけでなく、体脂肪もはかれる製品を作ろうと考えられたのでしょうか? その経緯を教えてください。

「当社の企業理念は『健康をはかる』です。『それならば体重だけではなく、体重の中身、すなわち体脂肪などもはからないとダメだ』と今の会長、当時社長だった2代目が考え、体脂肪計を作ることになりました。日本がますます飽食になり、肥満が問題化してくることを予見してのことです」

飽食から肥満の流れを予見できた人は他にもたくさんいるはず。しかし、そこから体脂肪をはかることが一般的になるという考えに及ぶか及ばないかが、スゴイ会社になれるかどうかの境界線なんでしょうね。
東京都板橋区に本社を構える株式会社タニタ。体重科学研究所が併設されています

「ヘルスメーター」を商標登録していないわけとは?



ダイエット器具やダイエット食品が人気の昨今。体重計も体脂肪計付きのものを買うのが、常識になりつつあります。そんな体脂肪計付きのヘルスメーターを生みだし、根づかせたのが最大手メーカーのタニタ。
しかし、創業当時からヘルスメーターを作っていたわけではないと、タニタ広報室の永塚隆彦さんはおっしゃいます。

「1923年、創業当時は金属小間物卸の商店でした。その後、1943年に時計製作工場を買収し、1944年、卸から金属加工をメインとしたメーカーになりました。その当時は、シガレットケースや自転車のライト、トースターなど、幅広い製品を手がけていました。初めてヘルスメーターを製造したのは1959年になります」

ヘルスメーターを作るにいたった経緯を教えてください。

「シガレットケースを作っていたアメリカの会社のパンフレットを取り寄せたとき、そこに家庭用体重計、向こうで言うところのバスルームスケールも掲載されていたんですよ。当時の日本で体重計は銭湯などの公共の場にしかなく、家庭用がなかった。バスルームスケールのような家庭用体重計を作れば一般家庭に普及するんじゃないか、と考えたのです」
最近の一般的な歩数計は、歩数と消費カロリーを表示しますが、タニタの活動量計「カロリズム」はひと味違います。歩行時はもちろん、仕事や家事などで消費した1日の消費カロリーがすべてはかれるんです
なかなか売れ筋の製品が出ないから、体重計に照準を合わせたということですか?

「いや、トースターなどは非常に売れていました。OEM契約で、数多くの一流家電メーカーさんの製品を下請けで作っていましたから。ちなみにオーブントースター日本第1号を作ったのも我が社です。ただし、初代社長としては、我が社のブランドを冠した製品、しかも一家に一台といった製品を作りたかったようでして。結果、1974年、2代目社長のときにはかるもの専門のメーカーになることを打ち出します。トースターなどは売れているのになんでやめるんだ、と社員からは猛反発を受けましたが、それでもやり通し、デジタル表示の体重計、体脂肪計と、オリジナル製品を製作していき、1997年に初めて、体脂肪計で売り上げ世界一になることができたのです」

信念を貫き通す。成功する企業の多くに共通することです。

ちなみにひとつ気になることがありまして。
「ヘルスメーター」と「体脂肪計」、その両方ともタニタが作り出した言葉だということですが、他のメーカーさんも使っていますよね? 商標登録しなかったんですか?

「えぇ。商標を取ってしまうと制限ができてしまい、市場の活性化を妨げてしまうということから、あえて取らなかったそうです」

なるほど商標登録しないことで、他メーカーにも「ヘルスメーター」や「体脂肪計」を作る機会を与えて参入を促し、競争が盛んになることで、結果的に市場活性化・市場拡大へとつながることを狙ったわけですね。

いやはや、スゴイ会社です。 タニタは体脂肪計のほかにも、3Dセンサー搭載でポケットに入れるなど、
持っているだけで作業時の消費カロリーを計測してくれる、
新しいカテゴリーの『カロリズム』という製品を作っていたり、
糖尿病予備軍かどうか尿からみる尿糖計なども作っています。

同じ計測器でも『健康をはかる』という軸がぶれていないのが
やっぱりスゴイところ。

またニコニコ動画に公式ページを設けるなど、時勢に応じた
若い客層へのアピールを着実に行っていることがうかがえます。

というわけで、今回のタニタのように、スゴイ会社があったら、
ぜひとも、私、野中に教えてください! 投稿、待ってます!!

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