金融危機を招いた犯人の一味?

「不動産証券化」の仕組みにはどんなメリットがあったの?

2009.07.16 THU



写真提供/時事通信社
2008年度の「土地白書」によれば、「不動産証券化」の実績額が約3兆753億円(470件)にとどまり、過去最高を記録した平成19年度の8兆8835億円(1523件)から実に65.4%も減少してしまったとのこと。背景には、サブプライムローン問題と世界金融危機で不動産市場への資金の流れが急速に細ったことが挙げられるという。 

金融危機を招いた要因のひとつ、というイメージからか、「証券化」という言葉はイメージを落としてしまった感がある。だが、すべての証券化商品が危険きわまりないものだったわけではもちろんない。例えば、オフィスビルやマンションの収益の権利を小口の証券に分割、投資対象にする「不動産証券化」は、その誕生以来、企業や投資家に大きな恩恵をもたらしてきた。

そもそも証券化とは、企業にとっては資金調達の手段のひとつ。保有する不動産が生み出す運用益の分配を約束する証券と引き換えに、投資家から投資を募る仕組み。例えば企業がビルを持っているとする。かつて保有不動産は、銀行から融資を受ける際の担保としても重要な意味があった。ところが、バブル崩壊後の地価下落で、不動産を所有しているだけでは簡単に銀行から融資が受けられなくなってしまった。

では、そのビルを別の資金調達手段にしてしまおうと考えたのが、不動産証券化だ。ビルの賃貸収入などを小口に証券化し、大勢の投資家に買ってもらう。会社にはキャッシュが入ることで新規事業などの原資を得られる一方、投資家は例えばビルの賃料などの収益から分配金を手にできる。

さらに証券化には、資金調達だけではなく、資産を減らすことで経営効率を上げられるというメリットもあった。そのため、証券化の流れが円滑に進むよう、国も法律を改正、国内外から投資マネーが集まり、不動産証券化は一気に拡大していった。

市場はさらに縮小するのか。それとも上向くのか。今年は今後を占う岐路の年になるのかもしれない。


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