「東芝の早期退職者に引く手あまた」の報道

「大企業勤めは転職に有利」は本当なのか?

2016.04.26 TUE

給料?やりがい? 30男キャリア相談所


「日本企業はリストラのタイミングが遅い。外資系ならもっと早いタイミングで行います」(兼本さん) 写真/PIXTA
今年1~3月、東芝で早期退職者の募集が行われました。その後、東芝の早期退職者に対して、各社の中途採用担当者から熱い視線が注がれているというニュースが。リストラの対象になっていながら“引く手あまた”なんてこと、ありえるのでしょうか…? やはり大企業は、そういう面でも有利?

「結論からいえば、それはかなりレアケースですね。たまたま人材を求めている事業と、人材が重なったのでしょう。珍しいからこそニュースになっているのかと…」

と話すのは、企業の中途採用、ヘッドハンティングなどを専門的に手がけるストラテジックパートナーズジャパンの兼本尚昌さん。

「リストラが行われてから転職に動いたのでは条件として不利になる一方です。大企業に勤めているならば、リストラ発表前に動いておけば“貴重な人材”として扱われて、年俸交渉も強気でいける可能性が高い。ところがリストラが行われたとたん、ライバルが1000人とかいるわけでしょう。『またアソコの人ですか?』なんて言われて買い叩かれますよ」

なるほど…。では、「転職は大企業だと有利」というのは的を射ているのでしょうか?

「それは年齢によって変わってきます。20代後半~30代前半の“R25世代”のような若手人材なら、大企業勤めの人のほうが有利といえますね。エージェント側が企業に対して説明しやすいし、採用担当者も納得しやすいのもありますが…そもそも日本の大企業の多くは“採用能力”が高いんです。だからこそ、そこにいる人材に対し、“基本的な能力が高い”と期待できる」

ですが、それも「若手のうちだけ」と兼本さんは指摘します。

「20年前なら、40代以降でも大企業出身というだけで他の企業から引く手あまたでした。ただ最近では、逆に大企業1社だけでの経験は厳しく見られることが多くなってきています。大企業に就職した優秀な若手でも、10年20年同じ環境で働くと“その企業に特化した人材”になってしまいがち。結果、他社では通用しない“どこへも行けないような人”になってしまうわけです」

“初めて転職した先で成功するのは難しい”ともいわれており、ベテラン世代になる前に、転職を経験しておくのは悪いことではないそう。

「ちなみに、私の本業であるヘッドハンティングの世界ではもっと具体的なやりとりが行われます。私たちは『バイネーム』と言うんですが、企業側から、『この人かこの人が入ってくれるなら○円出す』と、名前がリストアップされてくるようなこともある。ヘッドハンターは、専門的な学会や業界のイベントに潜入して、『この分野でスゴイ人は誰ですか?』なんて“取材”もする。もしその人に転職を断られても、『じゃあ、ほかにあなたが認めるライバルはいますか?』と、どんどん紹介してもらうようにしています」

では引き抜かれるような人材になるには…と聞いたところ「日々の仕事を実直にすること」という大変真っ当なお答え。自分の市場価値を意識しつつ、精進します!
(梵 将大)

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