「社会問題に出会う旅」手がける29歳社長のモチベーション

リディラバ安部氏「“ライスワーク”で心燃えるのか?」

2016.11.07 MON

給料?やりがい? 30男キャリア相談所 > 個性派社長のお悩み相談室


(撮影=藤本和成)
「社会問題の現場を実際に訪れるツアー」を提供する、一風変わった旅行会社、リディラバ。福祉作業所や自衛隊駐屯施設を訪れるツアーや、風俗嬢とラブホでおしゃべりするツアーまで、これまで約200以上におよぶテーマの旅を展開し、「問題」が潜む現場に一般の人を送り届ける仕組みを作っている。

同社を率いる29歳の若き社長・安部敏樹氏は、「仕事にやりがいがないって感じたことがない」と語る。その熱い言葉は、「自分の仕事が何の役に立っているか分からない」という若手ビジネスマンの心に火を点けてくれるかもしれない。

●若いのに金のために仕事…それでいいんかい!

そもそも仕事に対してモチベーションが上がらないのはなぜなのか? この問いに対し、安部氏は「それは“ライスワーク”(食べるため、生活のための仕事)しかしてないからでしょ」とバッサリ。

「若くて、生産性が高い時期なのに、ただ金をもらうためだけに仕事をする。もったいないですよね。それでいいんかい! それで君の命は燃えるんかい! と思うわけです。私自身は『社会の無関心の打破』ということをライフワークにしているわけですが、その背景にあるのは社会問題を目の当たりにしたときに、それおかしいだろ! みたいな『理不尽さに対する怒り』。それを火種に燃えているわけです」

ただ、日々の仕事のなかで、なかなかモチベーションの火が燃えないこともあるだろう。

「あんまり燃えない人もいますよね。“湿った木”みたいな人ね。そういう人はいる場所が悪いんじゃないですか? 周囲で燃えてる人がいれば、だんだん燃えやすくなってくる。たとえばサッカー日本代表の試合をスタンドで観戦したら、その瞬間だけでも『わー!』ってなりません? それと同じで、“燃えている人のそばにいることで燃えてくる”ってあるんですよね」

●知識や学びは何のためにあるのか? リスクの先に成長がある



では、職場にそんな「燃えている人」がいない場合は、どうすればいいのだろう?

「燃えたいと思っているなら辞めたほうがいいでしょ。周囲を変えるって相当難易度が高いから、自分を変えたい人は環境を変えるしかないですよ」

前向きな転職であれば、失敗したとしてもプラスになると安部氏。「燃えない」環境に留まることこそリスクだという。

「消極的な選択ばかりしていると、負のスパイラルに陥りますよ。働く際の『安心、安全』を取るって、中長期のスパンで見たら非常にリスクの高いこと。若いときにチャレンジしてリスクを取る人は、そのぶんチャンスもいっぱいある。そのチャンスを通して自分の能力も上がっていくので、正のスパイラルに入って成長していくわけです。

これからAI(人工知能)の技術が向上して、人間の仕事は減っていくでしょ。今の職が脅かされたとき、他の仕事にどう適応できるかってとても大事じゃないですか。磨くべきは表面的なスキルじゃなくて、どんな仕事にもつなげられる、『課題を設定する力』や『仮説検証する力』のような“コアなスキル”なんですよね。そこを伸ばすには、ひとつの業務だけをやっていては駄目なんです。だから、ずっと一カ所に立ち止まっているのは超リスクが高いんですよ」

何も無理やり転職しろというわけではない。

「今いる会社のなかで業務を変えるでもいいし、やり方を変えるということでもいいと思うんですよね。とにかくコンフォートゾーンに入っちゃ駄目。自分が快適な状態っていうのは、イコール“成長しない状態”なので。知識や学びが何のためにあるのか? それはリスクと成長のチャンスを正確に見積もるためにあるんですよ」

(末吉陽子/やじろべえ)
安部敏樹(あべ・としき) 1987年京都府生まれ。2006年東京大学入学。大学在学中の2009年に「リディラバ」を設立、2012年に法人化。KDDI∞ラボ最優秀賞など、ビジネスコンテスト受賞歴多数。現在は、東京大学で、大学1~2年生向けの「社会起業」をテーマとした講義を持つ。また、東京大学大学院博士課程(専門領域は複雑系)に所属し、研究活動にも従事している
安部敏樹(あべ・としき) 1987年京都府生まれ。2006年東京大学入学。大学在学中の2009年に「リディラバ」を設立、2012年に法人化。KDDI∞ラボ最優秀賞など、ビジネスコンテスト受賞歴多数。現在は、東京大学で、大学1~2年生向けの「社会起業」をテーマとした講義を持つ。また、東京大学大学院博士課程(専門領域は複雑系)に所属し、研究活動にも従事している

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