フーディソン山本氏の人生レベルの“ミッション”

年齢を重ねても「むなしくならない」働き方とは?

2017.01.09 MON

給料?やりがい?30男キャリア相談所 > 個性派社長のお悩み相談室


(撮影=小野奈那子)
水産業界にIT技術による新しい流通プラットフォームを再構築し、注目されるフーディソン。卸売市場にある魚や産地で水揚げされた魚をデータベース化し、スマホから簡単に注文できるシステムの開発などを手掛けている。

社長の山本 徹氏は、不動産や介護などの業界に携わってきたが、水産業が置かれている状況の厳しさに触れたことから同社を起業。「世界の食をもっと楽しく」というミッションを掲げている。そんな山本氏の働き方は、これからのキャリアに悩む若手ビジネスパーソンにも刺激を与えてくれるかもしれない。

●学生時代の恩人の死が生き方と向き合う転機に

山本氏が仕事を選ぶうえで大事にしてきたのは、「人生の終わりを意識すること」だという。命が尽きる瞬間までに自分はどうなっていたいのか? そう考えれば、自ずと答えは出ると考えている。

「仕事に不満を感じている人に、『そもそも、どうなりたいの?』って聞くと、答えられないことがほとんど。それを決めることから逃げているケースが多いのかなって思います。人生には終わりがあるから、ラストを決めていないと走りようがないはずなんですけどね。キャリアに行き詰まってしまう根本の原因は、そもそも自分のなりたい姿について悩んでいないことなんじゃないでしょうか」

そう語る山本氏自身も自然とこうした考えに至ったわけではない。12年前、大きな転機があった。

「自分の結婚式に、10代の頃からお世話になっていた北海道の老夫婦を招待したのですが、おじいさんが式の1週間前に亡くなってしまっていたんです。その人は、大学受験の際に親切にしていただいてから交流が始まり、ご飯をご馳走になったり家電をプレゼントしてくれたりと、赤の他人なのに実の祖父母のように接してくれた恩人でした。感謝の気持ちを伝えようと招待したけど、間に合わなかった。人生ってこんなふうに“終わっちゃう”んだと。それが人生の終わりを考えながら行動するきっかけになりましたね」

●「今の働き方は、満ち足りています」 死ぬまで達成されないミッションとは



また山本氏は、ビジネスマンの働き方について、内面の成長と老いの“逆回転の相関”を踏まえることが大事だと語る。

「年をとると体力が落ち、能力的にもやれないことがどんどん増える。であれば、“自分が関わることで社会が今より良くなっていく”という感覚を持つことで、ひいては自分の幸せも担保されるようになるのではないでしょうか。僕は“世界がより良くなること”にコミットしています。自分がそこに関与していると、老いて死に向かう過程でも、世界を良い方向に変えている感覚を持つことができる。それって幸せかもしれないって思ったんですね」


山本氏のミッションは“世界の食をもっと楽しくする”というものだ。

「たとえば、今までより魚が美味しくなったり、安く叩き売りされている魚が適正価格になって産地の人が豊かになったりすること。そういう方向に向かうよう人生をかけて取り組んでいる今の働き方は、とても満ち足りています。

僕はどの業界で仕事をするか、という点にはあまりこだわりはありません。大事なのは自分が介在することで差を生み出せるかどうか。それが水産業界でした。もともと漁業にまったく縁がなかった僕が、岩手で出会った漁師に漁業の現状を聞くなかで『これだ!』って思えた。僕のミッションには終わりがなく、きっと死ぬまで成し遂げられないでしょう。でも、だからこそ“今より良くなり続ける”イメージは持てる。そんな仕事ができていることが幸せです」
(末吉陽子/やじろべえ)
山本 徹(やまもと・とおる)1978年生まれ。埼玉県出身。北海道大学工学部卒業後、不動産デベロッパーを経て、介護系ベンチャーであるSMSを創業し取締役に就任。2013年4月にフーディソンを創業。ITを活用した「水産流通のプラットフォーム再構築」を目指す
山本 徹(やまもと・とおる)1978年生まれ。埼玉県出身。北海道大学工学部卒業後、不動産デベロッパーを経て、介護系ベンチャーであるSMSを創業し取締役に就任。2013年4月にフーディソンを創業。ITを活用した「水産流通のプラットフォーム再構築」を目指す

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