「和える」社 矢島里佳氏の仕事論

28歳の美しき起業家は「ワークもライフも選ばない」

2017.01.16 MON

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(撮影=小野奈那子)
伝統工芸を手掛ける職人とともに乳幼児向けの玩具や器などの日用品を開発・販売する「和える」社。代表取締役の矢島里佳氏(28歳)は、日本の伝統を次世代につなぎたいと、大学4年時に同社を創業。以来、総務省「ふるさとづくり実践活動チーム」委員に選出された経歴を持つなど、若手起業家として脚光を浴びている。

現在、会社を経営しながら東京や京都をはじめ、各地に足を運ぶ日々を送る矢島氏に、仕事とプライベートの両立に悩む若手ビジネスマンへのアドバイスを貰った。

●「ワーク」も「ライフ」も選ばなくていい 「人の役に立っている実感」を得るには?

「長時間労働」に警鐘が鳴らされるものの、一方で、働き盛りのビジネスマンにとって「ワーク」と「ライフ」を明確に切り分けることは難しい。矢島氏自身は、どう考えているのだろう。

「そもそも『働く』と『生きる』、違う土俵にあるものを天秤にかけるのが難しいと思うんです。私は『生きる』という枠組みのなかに『働く』が入っていると考えています。たとえば、赤ちゃんだったら『生きる』の中心は、食べる・遊ぶ・寝る、ですよね。でも年を重ねていくと『生きる』のなかに色んな要素が増えていきます。その要素のなかに、働く=人の役に立つっていう根源的な楽しさもあると思うんです」

とはいえ、大きな企業に属し組織の歯車であるように感じてしまうなど、「人の役に立つ」感覚が持てず、働くことに楽しさを見いだせなくなっている人もいるはずだ。

「私は一人で創業したので、商品の発送や経理もなんでも自分でやっていました。たしかに、経理の仕事とかをしていて『人の役に立ってるな』と感じるのって難しいですよね…。『何のために自分はこの会社に入ったんだっけ?』とか、『何のためにこの仕事をやってるんだっけ?』と思うのは、自然なことだと思います。だからこそ、自分の原点に立ち戻ることができる軸が自分にあるか否かっていうのが、すごく大切。

私の場合は、『何かを伝えたい』という軸があって、大学もジャーナリストを目指して進学しました。次に、『何を伝えるジャーナリストになりたいんだろう?』と考えたときに、日本の地域に根差す伝統や文化に惹かれていると感じたので、それらを次世代につなぐ仕事をしようと考えました。結果的に、起業することを選びましたが、軸は変わっていません」

●後輩を育成するのは会社のためではなく社会貢献だと考える



会社でリーダー的ポジションを任され、「人を教えること」の難しさに直面してるビジネスマンも多いだろう。矢島氏は、後輩や部下の育成にあたっても独自の観点を持っているようだ。

「たとえば、自分が指導していた子が辞めてしまったら、やってきたことがムダになるって考えてしまうこともあるかもしれませんが、私はそんなことはないと思っています。結局、その子も社会で生きていくわけですよね? 自分が仕事を通して伝えたことが、もしかしたらどこかで影響を与えているかもしれない。人生を豊かにする一助になっていれば、それって人間としてうれしいことですよね。自分がひとかけらでもいいから、相手の中に残るという事は、お金や目に見える価値には代えられません」

そう考えるようになったのは、これまで出会った人生の先輩たちの“背中”があったからだという。

「学生のころ、社会人の先輩方にお世話になったとき、『恩返ししようなんて思わなくていい』『後輩に同じようにしてあげて』と言われたんです。だからこそ、私も後輩には同じように“いい大人の背中”を見せていきたい。たとえば、和えるでは、商品をつくっている職人さんのもとを全社員が必ず訪れるようにしているんです。それはお金も時間もかかること。でも、そうすることで伝統や職人さんの世界の理解者が増えると思うんです。たとえ社員が会社を辞めたとしても、私たちの起こしたい社会変革の一翼を担ってくれる人材になるはず。

組織やチームという小さな枠組みではなく、社会全体で自分がどれだけ素晴らしい人材を育むことに貢献できているか。それはとても大切で、多くのリーダーが考えるべきことだと思うんです」
(末吉陽子/やじろべえ)
矢島里佳(やじま・りか) 1988年東京都生まれ。高校3年の時「TVチャンピオン、なでしこ礼儀作法選手権」に出演して優勝。2007年、慶應義塾大学法学部政治学科入学、2010年2月「学生起業家選手権」で優勝。大学4年時の2011年3月「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いで「株式会社和える」を設立。2012年3月「0から6歳の伝統ブランドaeru」を立上げ、各地の職人とともにオリジナル商品を生み出す。日本の伝統や先人の智慧を、暮らしのなかで活かしながら次世代につなぐために様々な事業を展開中
矢島里佳(やじま・りか) 1988年東京都生まれ。高校3年の時「TVチャンピオン、なでしこ礼儀作法選手権」に出演して優勝。2007年、慶應義塾大学法学部政治学科入学、2010年2月「学生起業家選手権」で優勝。大学4年時の2011年3月「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いで「株式会社和える」を設立。2012年3月「0から6歳の伝統ブランドaeru」を立上げ、各地の職人とともにオリジナル商品を生み出す。日本の伝統や先人の智慧を、暮らしのなかで活かしながら次世代につなぐために様々な事業を展開中

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