介護、子育て…生活に合わせた「ライフフィット転職」

2017年、転職の勤務条件は“交渉”時代へ?…その注意点

2017.01.20 FRI


勤務条件の交渉に応じる企業の割合も増えているという
写真:xiangtao/PIXTA(ピクスタ)
労働人口減少の折、転職市場においては労働者優位ともいえる昨今。そんな情勢を受け、転職市場では、面接の際に求職者が企業に勤務条件を“交渉”するような潮流が生まれつつあるという。

「こうした動きをリクルートキャリアでは、『ライフフィット転職』として2017年のトレンドになると予想しています。働き盛りで能力もあるのに、子育てや親の介護といった様々な事情で従来通りの勤務形態が難しい方は数多くいらっしゃいます。ライフフィット転職は、そうした人が“自身の生活と仕事を考慮した勤務条件”を能動的に企業と交渉するものです」(『リクナビNEXT』編集長・藤井薫氏)

最近では、家庭の事情や健康的な理由だけでなく、学びながら働く人、現職をしながら別の仕事や活動をする「パラレルキャリア」を積む人もいるという。労働者のあり方が多様化するなか、企業側も、個々のライフスタイルに合わせた勤務条件を用意することで、働き手のパフォーマンスを引き出せ、長く定着してくれると理解し始めているという。

リクルートキャリアが法人営業担当者に行ったアンケートでは、「個人が提示する条件交渉を行う企業の割合」が全体の14.3%。ここ3年で10ポイント近く上昇している。一般化しているとまではいかないものの、「ライフフィット転職」のトレンドの兆しは見られるようだ。

では、具体的にはどんな事例があるのだろうか? 実際に「ライフフィット転職」を叶えたケースについて、リクルートキャリアで転職支援を行うコンサルタントの方々に聞いた。

●30代男性会社員(建築業)の例(義母の介護)

「義父が亡くなり、一人残されてしまった義母と同居するため、関西へ引っ越しせざるを得なくなった30代男性の事例です。この方は仕事より義母の介護を優先したい、公私の時間をきちんと切り分けたいということで、“残業をしないこと”が転職にあたっての第一条件でした。希望される建築業界は残業が常態化しているため、ある意味厳しい条件といえますが、それでも商業施設の設計・施工管理をしていた前職以前のキャリアを評価していただき、希望の勤務形態を勝ち取っています。さらに、初回提示の金額から年収も100万円アップしました」(リクルートキャリア・シニアコンサルタント箕輪真人氏)

●30代男性プログラマーの例(親の介護)

「親の介護のために一度は離職した30代のプログラマーなのですが、仕事と介護を両立させるため、前職の会社に朝夕在宅勤務で復職したケースもあります。IT・エンジニア系は、制約がある方の在宅勤務の相談に応じる求人が増えていますね。また、最近はイオンが小売業では異例の“在宅店長”を導入するなど、幅広い業界に波及しつつあります」(リクルートキャリア・シニアコンサルタント平野竜太郎氏)

これらの人々は転職エージェントがあらかじめ求職者の状況を理解したうえで可能な勤務条件を企業側に提示し、それらが受け入れられた例だが、実際に転職者自ら企業側と交渉する際、気を付けるポイントなどはあるのだろうか?

「一番は言い出すタイミングで、最初から要望ばかりを先にお伝えしないことだと思います。本来面接は、募集ポジションに対する企業と求職者双方の経験・希望の合致度をすり合わせる場。どうしても譲れない要望がある場合は、内定後の条件面談などで真摯にお伝えしましょう。重要なことは、入社後の双方にずれが生じないように、どういうふうに働きたいのかを明確にすることです。明確にしたうえで、企業に判断してもらうことが、お互いにとって幸せな働き方に繋がると思います」(箕輪氏)

さらに、ライフフィット転職を実現するためには、日ごろから仕事での専門性や強みを持つために努力することも大切だという。

「企業の競争力向上にとって不可欠な人材であれば、勤務条件について柔軟に配慮する傾向は、あらゆる職種に広がっています。大事なのは将来的に親の介護などに直面した際に、ライフフィット転職ができるよう、自分を磨いておくこと。常に学び続ける人を企業は評価します」(藤井氏)

自らを向上させる意識を持っているビジネスパーソンこそ、公私ともに望む生き方を実現できるのかもしれない。

(榎並紀行/やじろべえ)

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト