副業解禁時代を“二足のわらじ”で渡り歩く!

25歳の副業女子 正能茉優が描くビュッフェキャリア

2017.02.06 MON



撮影/森カズシゲ
政府が後押しする「働き方改革」。現在、とりわけ注目を集めているのが「副業解禁」だ。多くの企業が模範にしている厚生労働省の「モデル就業規則」には副業・兼業禁止規定が盛り込まれているが、年度内をメドにこれを変更。“原則禁止”から“原則容認”に転換する方針が発表された。パラレルキャリアを目指すビジネスパーソンにとっては、明るい兆しと言えるだろう。

そんなパラレルキャリアを25歳にして歩んでいるのが、正能茉優(しょうのう まゆ)さん。大学時代に起業し、卒業後は活動を続けたまま大手広告代理店に入社。昨年10月にソニーに転職し、正社員として働くかたわら社長業も継続。さらには、経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」の委員としての活動や講演、市町村のアドバイザーもこなすビジネスウーマンとして忙しい日々を送っている。

●本業と副業、両方で得たことを両方に活かす

複数の肩書を使い分ける正能さん。そのメリットは短期間でさまざまな経験を積み、それぞれの仕事に相乗効果が生まれる点だと語る。たとえば、正社員として勤めるソニーでの役割は、「ユーザーが新しい体験をできるような商品をプロデュースする」こと。これには、学生時代から続けている自分の会社「ハピキラFACTORY」での経験が活かされているという。

「ハピキラFACTORYでは、地方に埋もれている“パッケージが女子目線ではダサいけど、中身はイケてる商品”を発掘し、広め方・売り方を考え、販路等の環境を整え、しかるべきターゲットに売る仕事をしています。一方、ソニーでの業務は、広め方・売り方や、販路等の環境が原因で良さを活かしきれてない自社の技術を商品化して、お金に変えていこうというミッションです。ジャンルは違えど考え方は同じ。一方で得た経験が、もう一方の仕事に還元できる良い環境だと思います」(正能さん、以下同)

まさにバリキャリ一直線、かと思われがちなそのキャリア。しかし、だからといって“上昇志向の塊”というわけでもないようだ。

「好きなことを仕事にしているだけだから、わりと思うがままに、ボーっと生きてるんです(笑)。でも、日常の中で『こうなったらいいのに』って考えることは多いかもしれません。たとえば、好きなお菓子屋さんのパッケージがイマイチで『中身は美味しいのにもったいないな…』とか、カフェのケーキのお皿を見て、『このお皿には赤いランチョンマットのほうがカワイイかな』とか、そんなことばっかり考えています。ありがたいのはそういう私のことを知っている友達たちが、旅行に行ったりしたときに、『何かに活かせそうじゃない?』と言って、素敵なものや場所の写真を送ってきてくれること。“自己研鑽のためにインプットに勤しむ”とかは特に考えていませんが、ほしい情報は自然に集まってくるような気がします」

●パラレルキャリアを成功に導くための“人生配分表”

二足のわらじを履きこなす毎日。ソニーは勤務時間を選べるフレックス制で正社員として週5勤務、それ以外の時間を「ハピキラFACTORY」での社長業や講演、そしてプライベートに充てている。目まぐるしい忙しさに思えるが、だからこそ時間の管理には余念がない。

「私、『人生配分表』っていうのをエクセルで作ってるんです。たとえば『●●歳にはこうなっていたい』っていうのを、2020年までは1年ごとに、その先は10年ごとに設けていて。それを実現するための時間配分を考えて、1週間、そして毎日の生活に落とし込んでいます」

「人生配分表」には仕事だけでなく、プライベートについても細かく記載しているという。

少し紹介してもらった。

「仕事以外に家族や友達、彼氏などの項目があって、それぞれに何%ずつ使うかを決めています。それを1週間単位でGoogleカレンダーのスケジュールに落とし込むんです。私、気づくとその時楽しいことにのめり込んで、他のことを気にしなくなっちゃうんですよ。でも、お仕事ばっかりして、いつの間にかおばあちゃんが死んじゃったりしたら悲しいし。友達とも会いたい。だからこそ、1週間に一度は家族と夕飯を一緒に食べようとか、会食は1週間に3回までとか、そういうルールを自分で作らないと駄目なんです」

そのルールを守るため、人に頼めることは頼む。たとえば、領収書の振り分けや事務作業などの苦手なことは、代行サービスを大いに活用しているという。

「人生のモットーは『ローコストでハイパーハッピー』。無理に頑張るのは苦手だけど、でも幸せになりたいんです。そのためには、自分の得意なこと、好きなことに持てる力のほとんどを費やすべきだと思っています。その分、苦手なことはお金を払ってでも人にお願いしてしまおうかなと」

●ビュッフェキャリアを支える経理力向上に!freee導入も

しかし、それでもやるべきことに手が回らない時はある。たとえば、経理もその一つだ。今後は「freee」(クラウド会計サービス)の導入も検討しているという。

「売掛金の管理や振り込みもしてくれたり、使った領収書をスマホで撮影すれば自動で取り込んでくれたりして便利だと、税理士さんに勧められました。たとえば月に一度のネイル代も『テレビ出演のためのネイル代』として経費にしているので、細かな支出も多くて、収入と支出のバランスを日常的に見ていきたいんです。確定申告って自分でやると本当に複雑。freeeを使えばある程度簡単に自分でできるのはとても便利ですよね。副業初心者の人もコストがかからないからオススメです」

副業解禁時代。様々な企業がルールを変えていくなかで、個人の生き方も自由になっていく。そんな時、その多様な働き方を支えるもののひとつは、freeeのようなクラウド会計ソフトなど、面倒な会計処理をスムーズにしてくれるシステムといえるだろう。正能さんが取り入れようとしていることは、これから副業を考える人にも参考になる話のはずだ。

好きなことと現実をバランス良く見据えながら、パラレルキャリア女子としてオンリーワンのキャリアを力強く歩む正能さん。上昇志向は薄くても、人生を充実させることにかける本気度は並々ならぬものがある。

「私は自分のキャリアのことを、“ビュッフェキャリア”って呼んでいます。カレーもパスタも食べたければ、ビュッフェみたいに、両方食べればいい。働き方や生き方もそうだと思うんです。好きなことを、自分の好きなバランスでやれる人生がいい。私の場合、仕事だけではなく家族や友達、ワークライフバランスの項目すべてが平均70点でもいいから、全部楽しんで、人生合計で120点を目指したいんです。『ローコストでハイパーハッピー』という自分のモットーを考えると、もっともっと、自分の1時間当たりの価値を高めていく必要があるなって思っています」

ちなみに、50歳に向けてこんな目標があるという。

「お仕事の目標は、特にないんです。でも、50歳の時には、好きな人と、好きな場所で、好きに暮らしていたい。地面に近いお家で、モフモフのゴールデンレトリバーを飼いたいんです(笑)。名前は…今のところ、“タツタアゲ”。毛の色と竜田揚げが似ているし、なんだかおいしそうで、かわいいでしょ。でも、そのためには、どこにいても仕事がもらえるように、『正能茉優』という人間に仕事が来るようにどんどんしていかないといけないと思っています。いまはそのためにいろいろ準備しないと、ですね」

(末吉陽子/やじろべえ)
正能茉優(しょうのう まゆ) 1991年8月22日生まれ、25歳。東京都出身。小学6年生から高校卒業までの7年間、読売新聞の子ども記者として活動。2010年慶應義塾大学総合政策学部入学。デザイン思考・オーラルヒストリーを学ぶ傍ら、衆議院議員学生秘書・ 恋愛ゲームのシナリオライターとして活動。2012年「小布施若者会議」を創設。その後、2013年(株)ハピキラFACTORYを創業。大学卒業後は広告代理店に就職。現在は、ソニーで新規事業・新商品を開発しながら、自社の経営も行う「パラレルキャリア女子」。その「副業」という働き方の経験を活かし、経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」の委員も務める。自社の活動としては、2017年3月より、日本郵便とコラボした商品群が全国2万4000局の郵便局で発売予定。北海道天塩町「政策アドバイザー」も務める。
正能茉優(しょうのう まゆ) 1991年8月22日生まれ、25歳。東京都出身。小学6年生から高校卒業までの7年間、読売新聞の子ども記者として活動。2010年慶應義塾大学総合政策学部入学。デザイン思考・オーラルヒストリーを学ぶ傍ら、衆議院議員学生秘書・ 恋愛ゲームのシナリオライターとして活動。2012年「小布施若者会議」を創設。その後、2013年(株)ハピキラFACTORYを創業。大学卒業後は広告代理店に就職。現在は、ソニーで新規事業・新商品を開発しながら、自社の経営も行う「パラレルキャリア女子」。その「副業」という働き方の経験を活かし、経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」の委員も務める。自社の活動としては、2017年3月より、日本郵便とコラボした商品群が全国2万4000局の郵便局で発売予定。北海道天塩町「政策アドバイザー」も務める。

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