「毎日在宅勤務OK」が話題の松本晃会長にきく

カルビーのホワイト哲学「日本の“職縁社会”は異常」

2017.02.13 MON

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(撮影=小野奈那子)
1949年の創業以来、「かっぱえびせん」「ポテトチップス」「じゃがりこ」といった大ヒット商品を生み出し続けているカルビー。約3500人の従業員を率いるのが、会長兼CEOの松本 晃氏だ。これまで巨大組織のトップとして、様々な人材を見出し、育成してきた。そんな松本氏が考える優秀な人材の定義とは? そして、優秀と認められるには何が必要なのか? さらには、豊かな人生を送るための考え方まで、持論を語っていただいた。

●大学なんて関係ない 求めているのは成果

採用にあたり「履歴書は見ない」という松本氏。主にふたつのモノサシで、優秀な人材か否かを見極めている。

「ひとつ目は、やっぱり地頭がいい人。それは、“答えがない質問”をすると、大概見極められます。たとえば、『日本って20年以上不況だけど、理由は何だと思う?』などときけばいい。地頭の良い人は、正解があってないような質問でも、さっと答えをまとめられる。どこの大学を出たかなんて関係ないんです。仕事にだって絶対の正解はないんだから、地頭が良くないと。

ふたつ目は、コミュニケーションスキルがある人。コミュニケーションに優れているか否かを判定するポイントは様々ですが、僕は『他人に好かれる人かどうか』を重視しますね。組織である限りは、嫌われる人じゃダメ。組織のなかで、良い仕事をする人は、やはりみんなに好かれていると思います」

また、優秀かつ実際に成果を出す人には、考え方にも共通項があるという。

「『成果を出したい』『人から好かれたい』『人から評価されたい』。そう強く思っていること。そして、その目的を達成するために何が必要か考えていること。やみくもに仕事をするのではなく、その『何か』を探し出そうとする人です。優秀な人の多くは、人生なんてあっという間で、時間との闘いであることを理解している。ちゃんとゴールをセットしないと、時間だけが無駄に過ぎますよ。そのうえで、優秀と認められたいならシビアに成果を求めること。会社が社員に求めているのは成果ですから」

●さびしい人生で本当にいい? 「僕は、家族のために働く」


ただし、成果を求めすぎるあまり、仕事一筋になってしまうことには異を唱える。とくに、現代の日本社会で横行する長時間労働に対しては、大いに思うところがあるようだ。

「昔はこんなんじゃなかったですよ。僕が小さい頃、約60年前の話ですが、サラリーマンの親父は17時半くらいに帰ってきて、晩飯も必ず毎日一緒に食べてました。近所づきあいもたくさんあった『地縁社会』だったんです。ところが高度成長期以降の日本は、仕事だけの『職縁社会』になった。それって、異常なんです。人間が一番大事にするべきは家族とか地域社会ですよ」

たとえ今、仕事に生きがいを感じられていたとしても、現役を退く時がいつか来る。仕事以外の“縁”をないがしろにした人生に襲いかかる“さびしさ”と向き合い続けるのは、きっと想像以上に苦しいものなのかもしれない。

「仕事だけの人は、定年になったら“それでしまい(終わり)”ですよ。ずっとほっとかれた妻は夫の面倒なんか見ない。子どもも寄り付かない。『あなたの人生、何をやってたの?』って。何も残ってない、さびしい人生ですよ。そんな人生でいいですか? 確かに会社で毎日仕事して、仕事終わりにお酒を一杯飲んでいれば面白いって感じるかもしれない。でも、それをずっと、一生、死ぬまでできますか?」

カリスマ経営者として辣腕を振るう松本氏自身も、仕事以上に家族を大事にしているという。

「経営者としては『世のため人のため』に働いていますよ。でも個人としては、家族のために働いているんです。僕自身は飛行機のクラスも食事もあまりこだわらない。でも、家族と旅行に行くときはビジネスクラスに乗せるし、いいレストランに連れていく。そのために働いてきたんだから」
(末吉陽子/やじろべえ)
松本 晃(まつもと・あきら) 1947年、京都府生まれ。1972年に京都大学大学院農学研究科修士課程を修了後、伊藤忠商事株式会社に入社。1993年にジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル株式会社に入社。代表取締役社長、最高顧問を歴任後、2009年6月にカルビー株式会社の代表取締役会長兼CEOに就任。以来、同社を7期連続の増収増益に導いている
松本 晃(まつもと・あきら) 1947年、京都府生まれ。1972年に京都大学大学院農学研究科修士課程を修了後、伊藤忠商事株式会社に入社。1993年にジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル株式会社に入社。代表取締役社長、最高顧問を歴任後、2009年6月にカルビー株式会社の代表取締役会長兼CEOに就任。以来、同社を7期連続の増収増益に導いている

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