常に「どこかに転職できそうか?」バリューを考える

ChatWork山本代表にきく 強みを伸ばすチームづくり

2017.03.27 MON

給料?やりがい? 30男キャリア相談所 > 個性派社長のお悩み相談室


(撮影=森 勇馬)
電子メールに代わる新たなビジネスチャットツールとして注目されている「チャットワーク」。現在、ユーザーは世界205の国と地域に広がり、日本だけではなくシリコンバレーや台湾にも拠点を持っている。同社を率いる山本敏行代表取締役は、アメリカの現地スタッフをマネジメントするうえで、働き方に対する日本人との意識の違いを強く感じたという。何がどう違うのか、山本氏の考察からキャリアの積み方のヒントを探る。

●転職する気がなくても人材紹介会社に行っていい

日本とアメリカでは企業の人材育成、転職に対する考え方が大きく異なる。それゆえ、一人ひとりの仕事観にも差が生じるようだ。

「日本だと、“会社に最適化”しがちだと思うんです。就職してからいろんな部署を回って、配属先が固まる。かたやアメリカって、3年ごとの転職が当たり前。そのため、会社に最適化するというよりも、自分を“職種に最適化”するんですよね。職種に特化してスペシャリストになっていく。そこで築いたキャリアを引っ提げて、ステップアップのための転職をするんです」

こうした仕事観が100%正しいとは考えていないと山本氏。しかし、会社にだけ最適化することは、個人としての強みを見失いかねないとも危惧する。

「日本の場合だと、20年、30年スパンで同じ会社に所属することも多いですよね。知り合いがSNSに投稿していたんですけど、とある人事が転職志願者に『あなたの強みはなんですか?』ってきいたら、『大企業で部長をやっていました』と答えたそうなんですが、それだけでは強みにはなりません。まさに、会社に最適化してしまったために、転職市場でのバリューを失ってしまったケースだと思います」

ただ、そうはいっても一つの会社に勤めあげ、社内でバリューを高めていく良さもある。そのうえで、いざとなればいつでも転職できる力を磨くこと自体は、今の会社で勤め続ける場合でもプラスに働くだろう。

「僕がおすすめしてるのは、転職する気がなくても人材紹介会社に行って『僕の価値はいくらですか?』って聞いてみること。価値が今より高ければそれだけバリューがあるんだって分かるし、転職先がないとジャッジされたら、それはちょっと今の働き方まずいんじゃないのっていうのが分かりますよね。じつは、僕も人材紹介会社の人と飲んでたときに、『僕って、どこかに転職できそうですか?』って話をしたら、『後継者がいない会社の社長とか事業長とか、そういうところで結構需要はありますよ』って言われて、給料もそこそこ良かったんで、ちょっとホッとしましたからね(笑)」

●“惜しい”人材を引っ張り上げるのがマネージャーの仕事

山本氏自身は、経営者として生きていく覚悟を決めている。それは、自分の強みを“人を引っ張り上げるパワーがあるところ”と認識しているからだ。

「ビジネスパーソンのなかには、“ボーダーラインの人”って結構いると思うんですよね。機会がなくていまいち仕事で躍動できずにいるけど、ちょっとした出会いとかチャンス、情報があればブレイクスルーできる人、そんな人を引き上げてあげたい。シリコンバレーにいると、『起業したいんです!』と燃えている若者が、次々に訪ねてくるんですけど、そういう若者は“叩いても叩いても出る杭”なので、叩いて伸ばすようにしています(笑)。そうじゃない、ブレイクする可能性があるボーダーラインの人をどう引き上げられるかがリーダーの腕の見せどころではないでしょうか」

組織において個の能力を引き上げるうえで重要視しているのは、“社会貢献度を感じさせること”、そして“強みの見極め”だという。

「経営者とかリーダー格のメンバーに言いたいのは、自分たちのビジネスが、社会の役に立ってるのかどうかを大事にしてほしい、ということです。綺麗ゴトを言ってても、実際にやってることがお客さんを騙してるようなことだったら、どんな優秀な人でも頭がおかしくなっちゃうと思うんですよね。誠実さを失ってしまっては、人は離れていきます」

一方、個々人においては、自分自身の強みについて、本人でもよく分かっていないこともあるはずだ。しかし、山本氏の考え方はいたってシンプル。

「強みとは、『その人が当たり前にやっている、周りができてないこと』です。自分はできているのに、なんで皆できないんだろうって思うことって、一つや二つはあると思うんですよね。皆、足りないスキルを伸ばそうとするんですけど、足りないって弱みなんですよね。そうじゃなく、強みの延長線上で勝負して、発展させていければいい。マネージャーも、メンバーの『これ得意そうだよね』っていうのを見つけて、適切な仕事にアサインする。それで、うまくいけば続けさせればいい、うまくいかなかったら他の仕事をやらせればいい、組織ってそんな大らかさがあるといいですよね」

(末吉陽子/やじろべえ)

山本敏行(やまもと・としゆき) 1979年大阪府生まれ。中央大学商学部在学中の2000年、留学先のロサンゼルスにて中小企業のIT化を支援する事業を創業(04年株式会社EC studioとして法人化)。2011年にクラウド型のビジネスチャットツール「チャットワーク」の開発・運営を開始。翌2012年に社名をChatWork株式会社に変更、米国法人をシリコンバレーに設立。自身も拠点をシリコンバレーに移し、グローバルなビジネスを展開している。

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