今週は“年末の忙しさを笑って忘れられる映画”

穏やかな笑いで心が休まる『ホルテンさんのはじめての冒険』

2009.12.21 MON


ホルテンさんがさまよう、ノルウェーの町並みの美しさにも目を奪われる (c)2007 COPYRIGHT BulBul Film as ALL RIGHTS RESERVED
どんなに眠くても、毎朝定刻に出社するのがサラリーマンの使命。歯を食いしばって1年がんばってきたあなたの背中を、やさしくほぐしてくれる…そんな穏やかな笑いとあたたかな励ましに満ちた映画をご紹介しよう。

ノルウェー鉄道の運転士・ホルテンさんの冒険は、遅刻から始まる。67歳でいよいよ定年退職を迎える、その前日の晩。ホルテンさんは無遅刻無欠勤の真面目な働きぶりを会社から表彰され、お祝いの会が開かれた。無口で勤勉なホルテンさんはそこで酔っぱらったりはしないが、主役をよそに盛り上がる同僚たちとの二次会のトラブルから、最終出勤日に遅刻してしまう…。動揺したホルテンさんは町へと走り出し、風変わりな老人たちと行き交いながら1日かぎりの「冒険」に出る。

仕事で失敗した瞬間の焦り、真面目にやっているのに周囲から浮いてしまう感じ。サラリーマンなら誰もが覚えのある感情では? だからこそ、ホルテンさんが冒険を通して、「仕事」ではなく「自分」を取り戻していく姿にも、きっと共感するはずだ。ホルテンさんが出会う老人たちは、何らかの夢を追い、そして破れ、今は端から見たらこっけいな言動を繰り返す。でも本作は彼らを、ブラックなジョークでからかったりしない。「人生は手遅ればかりだが、逆に考えれば何だって間に合う」。そんなセリフが、穏やかなユーモアにくるまれて浮かび上がってくるのだ。

笑いながら泣けてきて、そして心が解放される一本。年末の休日、本作を観たあとはゆっくり眠れるはずだ。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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