今週は“旨い料理を食った気になれる映画”

美味しくて、でも泣ける恋愛映画『厨房で逢いましょう』

2010.01.18 MON


無口なグレゴアの心の動きを、繊細な表情ひとつで演じきったのは、主に舞台で活躍する俳優ヨーゼフ・オステンドルフ。一途で切ない片想いに、草食系男子は共感すること間違いなし
絶世の美男美女、見たこともない景色、心を揺さぶる名ゼリフ。現実にはなかなか出会えない至高のものを、ひととき味わわせてくれるのが映画の魅力だ。今回は、そんな至高のもののひとつ――絶品の料理を愉しめる映画をご紹介しよう。

主人公は、口ベタでハゲでデブの男グレゴア。だが彼には、素晴らしい料理の腕前があった。彼が厨房を切り回す小さなレストランは、官能的なまでに美味しい料理“エロチック・キュイジーヌ”によって根強いファンを持っている。そしてその店で、彼は運命の女性エデンとめぐり会った……。劇中の料理を手がけたのは、五つ星ホテル「エルププリンツ」のレストランで料理長を務めるフランク・エーラー。画面に登場する料理の数々に、視覚のみならず味覚まで刺激されること必至である。

だが、グレゴアとエデンの物語は、美味しいだけでは終わらない。想いを口にすることなどできず、ひたすらに料理で彼女を喜ばせようとするグレゴア。そして彼の料理を心の支えにしているエデンは、実は夫を持つ身。二人の想いは、つながることのできないまま高まっていき、ある悲劇をたぐり寄せてしまう。

考えてみれば、本当に美味しい食事というのは、ひとりでとるものではない。大切な人と分かち合う時にこそ、料理の美味しさは最高になるのだ。悲劇のあと、二人の想いがどのように交錯するか……おだやかな余韻に満ちたラストを、じっくり味わってほしい。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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