音色はいろいろ「住活」組曲

第4回 気軽で自由!賃貸物件は“住活”三昧?

2010.01.21 THU

音色はいろいろ「住活」組曲

常に自分の状況に合った住まいを気軽に、自由に選べる楽しさ



賃貸住宅は、多くの人にとって親近感の高い「家」。

学生時代はもちろん、現在も賃貸にお住まいの方が少なくないと思います。ただ、それは積極的に選んだというよりは、「それに住むのが当たり前」という流れで住み始めた人が多いのではないでしょうか。

さて、最近の賃貸住宅事情。その状況は一昔前に比べて、大きく変わってきているようです。
たとえば賃貸住宅特有の敷金・礼金。かつては、敷金と礼金が2カ月ずつ、それに最初の月の家賃を入れると、ほぼ半年分くらいの家賃は準備しなくちゃいけませんでした。

それが昨今の、人口減にともなう不動産会社間の競争激化や経済状況などを背景に「敷金・礼金1カ月分のみ」「敷金のみ」「敷金・礼金なし」(!)という物件が増えてきているそうです。たとえば敷金・礼金なしの物件なら、極端な話、最初の月の家賃だけあれば済む計算になります。さらに引っ越し費用も安いコースがあったりして…。最近は、「住み替え」が気軽にできるようになっているんですね。

そんな賃貸住宅の「気軽に引っ越せる」という特徴は、「持ち家」と比べて2つのメリットをもたらしてくれるそうです。

メリットの1つは収入変化に対応しやすいこと。つまり、ローンなどの縛りが多い持ち家に比べ、気軽に引っ越せるから急な収入の変化にも対応できます。もうひとつのメリットは住む人の人数変化に対応しやすいこと。結婚、出産、子どもの独立、親との同居など、家族構成の変化に合わせて住み替えることができます。

「今、この瞬間(の家族構成など)に必要な広さや立地を自由に選べるのが賃貸のいいところ。その対価だけを払えばいいことが賃貸物件の長所だと思います。分譲だと将来も見越してやや広めの住宅を買ったりしますからね」(『SUUMOマガジン編集長』池本洋一さん)

持ち家となれば将来の結婚や出産を想定して、住まい選びをするのが一般的。これを別の角度から考えると、今すぐ使わない将来のための部屋に対しても、ローンや金利や固定資産税を払っているわけで、正直もったいない…。一方で賃貸ならそんな負担は必要がなく、コスト面で合理的と言えるんですね。

「個人的には“試し住まい”ができることもメリットとして挙げたいですね」(池本さん)

たとえば、子育てしやすいという評判は本当か? など住みたいと思っている街の実情を試しに賃貸で住んでみることで知ることができたり、タワーマンション高層階から日本家屋まで、興味のある住居のタイプを、とりあえず住んでみて「実感」したりできます。そうやって“試し住まい”をした結果、その街の実情が理想と異なっていたら、引っ越してしまえばいいわけで、その「気軽さ・自由さ」が賃貸住宅、最大のメリットなんですね。

では、ほかにもメリットはあるんでしょうか?
住まいが古くならない暮らしが実現できるなんて!
「コストと手間をそれほどかけず、常に新築物件に住み続けやすいんです。“新築渡り鳥”ができたりするんです。」(池本さん)

なるほど、そんな考え方もあるんですねぇ。
確かに持ち家だと、そんなにポンポン住み替えるのは難しいですもんね。

続いて後半では、どんな賃貸物件があるのかをまとめてみることにします。

シェアハウスにデザイナーズなどなど、選択肢の広さも賃貸物件の特長



一口に賃貸物件といっても、一般的な賃貸マンションや賃貸アパートのほかにも、その種類はたくさんあるようです。

まずひとつは分譲マンションを購入した人が、その物件を賃貸物件として貸しに出しているケース。一般的に分譲賃貸と呼ばれ、設備もつくりも分譲仕様でしっかりしていたり、エントランスなど共用部分も豪華だったりするケースが多いようです。

「なかには分譲賃貸とはいうもののそこまで設備や造りがしっかりしてないものも。分譲マンションのモデルルームへ見学に行って、最新の分譲マンションの設備や仕様の知識を入れておくと、その見分けやすいと思います」(『SUUMOマガジン編集長』池本洋一さん)

また、ここ数年、大手マンションデベロッパーが手がけるようになった賃貸専門の高級物件や個性的なデザイナーズ・マンションも賃貸物件の方が選択肢は多いうえに、「社員寮などをリノベーションしたシェアハウス物件も面白い」(池本さん)とのこと。

シェアハウスは、各個室はあるものの、キッチンや浴室は共同という物件。その分、各スペースは広く、さらには大型テレビやソファが置かれた共用のリビングスペースなどを、住人が集う「憩いの場」として使用している物件もあります。広めの賃貸物件をルームシェア、という例は多いが、いわば、それを発展した形ともいえそうですね。

現在、首都圏を中心に、社員寮などをリノベーション、敷金・礼金なし、家具家電付きのシェアハウス「シェアプレイス」シリーズを展開している株式会社リビタの広報・木内玲奈さんは、住人たちが感じているメリットを次のように解説してくれました。

「初期費用が抑えられる点や広いキッチンやリビングなどワンルーム物件では得られない広いスペースや設備を使える点が魅力。また、住居内で会社とは違ったコミュニティをつくれることで、そこで知り合う人間から刺激を得られたり、知見が広がったりする点を楽しく感じている人もいますね」
写真は、リビタが運営する「シェアプレイス東神奈川」の共用ダイニング。見知った仲間が近くにいるのはセキュリティ面でも安心だとか。
1人になりたいときはプライバシーが守られた専有部分にこもればよく、他人と上手に距離をとりながらシェアを楽しむ人が増えているんだそうです。

いやー本当に賃貸って間口が広いというか、懐が深いですね。
ただ、賃貸住宅ならではのシステムのことも気になります。たとえば前編にも話に出た敷金・礼金、そして最近、裁判で話題になった更新料のこととか…。

「実は、敷金や礼金、更新料は慣習であって、法律で決まっていることではないんです。だから、都道府県や地方によって基準がまったく違ったりします。ちなみに最近、ある裁判で更新料を無効とする判決が出ましたが、一方で有効との判決も出ています。現時点では、契約時に更新料が定められていればそれは必要なコストと考えておいたほうがよいと思います」(池本さん)

なるほど。そういった点も含めて、賃貸物件で住活する際の重要なチェックポイントはあるのでしょうか?

「賃貸住宅は家賃以外にもいくつかの項目でお金が発生します。必ず契約する前にかかる費用の詳細をきちんと確認、計算することが大切。家賃がおトクな物件でも、よく見ると、共益費、管理費などが高い場合もあります。先ほどお話しした敷金、礼金、更新料なども同じです」(池本さん)

共益費、管理費とは設備などマンションを維持・管理するために、住民同士が共同で負担するお金のこと。広告などでは家賃とは別に記載されている場合もあるので、注意が必要。「気軽・自由」な賃貸住宅で、家賃や諸費用が重荷になったら意味がありませんもんね。

「今の日本で賃貸住宅の住み替えほど、“何かを替える”という行為において合理性が高いものはないと思うんです。たとえばクルマを買い替えようとしても、もともと持っているクルマはそれほど高く売れませんよね。その点、賃貸住宅の住み替えなら、何か損をするわけではない。その割に生活に大きな変化をもたらせる。すごく魅力的なことだと思うんですよね」(池本さん) なんとなく住んでいた賃貸住宅ですが、よーく考えてみると、いろんなメリットがあったりするんですね。それに住まい自体の種類が豊富なのも、魅力的ですね。

今までは「本当は家を買いたいけど、買えないから、とりあえず今は賃貸住宅に住んでいる」という感覚だったけど、「あえて賃貸を選ぶ」という選択もアリ、なんだなと実感。
暮尾豊、賃貸物件に対する認識が改まったことだけは、間違いありません!

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