今週は“仕事人の極限心理を知れる映画”

男と仕事の、極限の関係。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

2010.01.25 MON


アカデミー賞撮影賞を受賞した映像美も圧巻 (c)Buena Vista Home Entertainment, Inc. and Paramount Vantage, A Division of Paramount pictures Corporation
経済的にも政治的にも、ますます波瀾万丈となりそうな2010年。仕事初めの1月から、荒波にもまれているサラリーマンも多いのでは? そんなあなたに、男と仕事の関係の極限を見せてくれる映画をご紹介しよう。

舞台は20世紀初頭のカリフォルニア。気難しい鉱山労働者ダニエル・プレインヴューは、鉱山の発掘を手始めに、山師の才覚を発揮。荒れた土地を次々に買い占め、ついに石油を掘り当てる。富と権力を手にするが、彼の魂は明朗なアメリカン・ドリームからは程遠く、欲望と孤独に駆られて破滅へと疾走する……。

プレインヴューは、単なる“欲ばりな男”ではない。人と関わることが極端に苦手な彼は、まともに家族を持てず、友人という概念など理解できないように見える。そんな孤独な彼が広大な荒れ地に立った時、恥も外聞もなく自力で富をつかむしか生き延びる方法はない。だから彼はひたすら真面目に仕事に向き合い、しかしその真面目さが常軌を逸していく。その姿は、きっと現代日本のサラリーマンたちの魂をも揺さぶるはずだ。われわれもまた、職場でもプライベートでも孤立を感じながら必死で仕事をこなしているのだから。

アカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演男優賞2冠に輝いたダニエル・デイ=ルイスの演技も、まさに極限の仕事ぶりだ。鉱山労働者の節くれだった肉体を作り上げてから撮影に臨む姿勢には、ただの“上手な演技”を凌駕した、鬼気迫るものを感じる。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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