音色はいろいろ「住活」組曲

第6回 “一戸建て”それは夢か現実か?

2010.02.18 THU

音色はいろいろ「住活」組曲

一戸建てをあきらめる前に、知っておきたいその魅力



「一国一城の主」なんて言葉に憧れはあっても、都心部などではなかなか手が出しにくいのが一戸建てですよね。とはいえ、一戸建てを知らずに“住活”するなかれ。一戸建てを知る第一歩として、マンションと比較してみることにしました。

マンションは自分の住居スペース以外、たとえば共用部分や庭はみんなのもの、それに比べて一戸建ては建物も庭も、敷地内のものは全部自分のもの、という違いくらいはわかります。
あと、ほとんどのマンションは間取りや設備があらかじめ決まっていますが、一戸建ての注文住宅なら、ゼロから自分好みに家をつくれるところも大きな違いでしょうか。

「さらにいえば、マンションは無駄がなく、効率的な間取りになっていることが多いですね。階段の上り下りがないので家事がラクだし、段差が少ないのでお年寄りや子どもにとっても安全。ただ、一戸建てはその段差をうまく利用することでリビングなどパブリック空間と個室などプライベート空間を分けやすい。そもそも、注文住宅であればスペースの有効活用も間取りも思い通りですからね」(『SUUMO』編集長・西村里香さん)

なるほど。さらに、お話を聞くと生活そのものにも違いが出てくるとか。

「たとえばマンションなら24時間いつでもゴミ出しができるところも多いですが、一戸建てでは決められた日時にしか出せないことが多い」(西村さん)

さらに大きな違いとして覚えておきたいのは「維持費用」のハナシ。

通常、マンションで「修繕積立金」「管理・共益費」を毎月支払いますが、一戸建ての場合は、修繕積立金や管理・共益費を毎月支払う必要がないかわりに、その分、自分で将来の修繕などのために貯蓄しておいたり、メンテナンスの計画・手続きをする必要があるんです。
ただ、一戸建ては、そのすべてを自分でしなくてはいけないかわりに、管理組合などで協議する必要がない分、マンションに比べてリフォームの時期や内容なども好きにできるメリットがあります。

「マンションには専有部分と共有部分があり、たとえば玄関ドアやサッシなどは共用部分なので自由に替えられません。また専有部分であるフローリングの張り替えなども、下階への影響から管理組合の許可が必要など、制約が多いんです。その点、一戸建てはリフォームも建て替えも基本的には自由」(西村さん)
外装に関しても、一戸建てなら自由に手を入れることができます
うん、やっぱり家そのものを自分で好きにできるというのが、一戸建ての最大の魅力なんですね。まさに「自分の城」! では、後編では一戸建ての中身に詳しく迫ってみましょう。

「注文住宅」か「建売住宅」か。 一戸建てにも選択肢はある



マンションとの違いはわかりました。
続いては、一戸建てのバリエーションのお話。

それは「注文住宅」か「建売住宅」か。

簡単に説明しますと、注文住宅は建物を建築士に設計してもらい、施工会社と建築工事請負契約を結び、家を建ててもらう方法。ちなみに、土地がすでにあるか、新たに土地も購入するかという違いもあります。一方、建売住宅は住宅の売主(多くは不動産会社)と売買契約を結んで購入する土地付き建物のこと。まあ、おおざっぱに言えば注文は「建てる」、建売は「買う」という違いでしょうか。

この2つ、さらに大きな違いは、設計の自由度なんだそうです。

「自分がどういう暮らしをしたいかに合わせて家を建てられるのが、注文住宅の最大の魅力。希望通りの間取り、内装や外装のデザイン、好みの設備、将来を見据えた設計など、自分の夢をあきらめることなく、家に宿せるんです」(『月刊ハウジング』編集長・武市麗子さん)

やっぱり、この魅力は大きいですよね~。もちろん建売住宅にもメリットはあります。たとえば価格のわかりやすさや仕上がりのイメージ。
男なら「城」を持ってみたいもんですね
「建売住宅は販売価格が明示されているのでわかりやすく、予算オーバーも防ぎやすい。注文住宅にも予算は存在しますが、実際に設計・施工を進める中で変更になる部分もありますから。また建売住宅はすでに建物ができているケースが多いので、仕上がり、間取りの使い勝手、家具の配置などが確認しやすいですね」(西村さん)

ちなみに、注文住宅は建築過程を確認できるので、構造、耐震などについて自分の目で見て安心したい人は、注文住宅が向いているかもしれません。

いやー、「一戸建て!」と決めても、なかなか悩みますな。それに一戸建てって、マンションに比べて高いってイメージがあるんですよね……。

「いえ、条件にもよりますが、最近は建物だけなら、1000万円台でも十分可能ですよ。どうしても土地の値段と合わせて考えてしまうので、高いと思われがちなんです。それに設計の自由度が高い注文住宅なら、お金をかけるところとかけないところの調整も自分でできますからね」(武市さん)

そっか。仮に土地がすでにあるなら、1000万円台で自分の思い通りの家ができちゃうケースもあるわけですね。仮に土地も購入するにしても“住活”を機に郊外への移住を選択すれば、土地もグッと安くなるから、むしろ都内でマンションを買うより郊外に注文住宅を建てた方が、予算が抑えられるってことも…。

「ありえますね。狭い土地でも3階+地下1階と縦に伸ばしたり、設計の工夫でカバーして20畳以上のリビングを実現している人もいます。限られた予算のなかでも、工夫しだいでこだわりをあきらめずに済むのが注文住宅のよさ。最初から無理と諦めないで、一度は注文住宅を検討してほしいですね」(武市さん)

あ、そういう狭小住宅って、有名建築家さんの作品としてテレビや雑誌で紹介されているのを見たことがあります。注文住宅って、トータルのプライスだけではなく、土地と建物で分けて予算を検討してみると、また違った回答が出そうですね。 本音では、ほしいと思っても、どこかに最初からあきらめ気分があった一戸建て。でも建売住宅はマンションを買うのと同じような感覚で買えそうだし、注文住宅も条件や考え方次第では、マンションを買う予算とそれほど変わらずに建てられそうです。一戸建て、もう一回検討する余地があるのかも。
いずれにせよ、「自分の思いどおりの家」ができる喜びは何物にも代えがたいはず。いっちょ、やってみますか!

取材協力・関連リンク

関連キーワード

ブレイクフォト