今週は“肩の力を抜ける映画”

人生は旅。屈強な老人の心温まるロードムービー

2010.03.02 TUE


73歳のアイヴィンを演じたリチャード・ファーンズワースは、当時78歳で癌に冒されていたにもかかわらず、本作に出演されたそうです。味のある皺と真っ白な髭がとっても魅力的で、アカデミー主演男優賞にもノミネートされました。残念ながら受賞は逃しますが、史上最年長候補者として話題になり、映画史にその名を刻みました (illustration=micci)
何か大きな事件や、特別な演出が仕掛けられている訳でもなく、ただゆっくりとした時間が流れ、いつものせわしい毎日を少しだけ忘れさせてくれる。今回紹介する『ストレイト・ストーリー』は、まさにそんな映画だ。

73歳になるアルヴィンは、10年前に喧嘩別れした兄が心臓発作で倒れたことを知り、和解するために563キロも離れた兄の元まで、一人旅に出ることを決める。しかし足も悪く免許もないアルヴィン。心配する娘のローズの反対も押し切り、時速8キロしか出ないトラクターを購入し、無謀にも6週間の長旅に出発する…。

この映画で丁寧に描かれているのは、アルヴィンが道中で出会う様々な人との心の交流。そのやりとりはどれも優しく、なかでも妊娠し家出したティーンエイジャーにかけるアルヴィンの言葉は、人生の荒波を潜り抜けた者にしか出せない力強さがある。土の匂いすら感じさせる圧倒的な大自然の映像も後押しし、自分の気持ちがほぐれていくのを実感できるはずだ。

3月年度末に向けて神経をすり減らし、身も心も疲れきっているアナタ。この終始穏やかな映像と、人生の酸いも甘いも経験した骨太な老人の言葉に、一時心を癒してはどうだろうか?
(micci)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト