今週は“男のスマートさを学べる映画”

本当の“スマート”を大先輩に教わる映画『ヴィーナス』

2010.03.08 MON


かつて『アラビアのロレンス』(1962年)で美形ぶりを世界に知らしめたピーター・オトゥールが、老いた俳優を時にチャーミングに時にスマートに演じてみせる。ご本人は今もバリバリ活躍中です
男としてスマートに、かっこよくありたい。だが着慣れない最新ファッションで、初めて入る高級レストランに彼女を連れて行っても、小っ恥ずかしいことになるだけ――R25世代ともなれば身をもって知っているだろう。では本当の“スマート”とは何なのか。映画を通して、人生の大先輩に教えてもらおう。

舞台は現代のイギリス。70歳代の俳優モーリスは、かつては美形スターとして浮名を流したが、今や細々と端役をこなす老残の身だ。妻も出ていってしまい、楽しみといえば老いた俳優仲間たちとパブで愚痴ることくらい。だがそんな仲間のひとりイアンの姪の娘ジェシーが急に田舎から出てくることになり、モーリスの最後の日々に彩りを加えていく。

これでジェシーが清楚な美少女ならば往年の王道パターンだが、この子が見事にかわいくない。見た目はもっさりした田舎娘で、言葉づかいは汚く教養もなく、持っているのは“若さ”だけ。そのくせ、その若さに魅了されたモーリスを利用してわがまま放題だ。ジェネレーション・ギャップにうろたえ、小娘に翻弄されるモーリスの姿は“スマート”とは程遠い。だがその愛情が、この空虚な女の子がきちんと人生を歩んでいけるようにしたい――そんな祈りにまで高まったとき、モーリスが見せる決然とした言動は本当にかっこいい。

真の“スマート”とは単にかっこつけることではなく、心底から相手のことを考え、その思いを行動に表わすことなのかもしれない。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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