今週は“スポーツの興奮を体感できる映画”

男が戦う理由を思い出させてくれる映画『シンデレラマン』

2010.03.15 MON


本作は実話を基にしている。こんな男が実際にいたと思うと、感動も倍増だ (c)Buena Vista Home Entertainment, Inc.
先のバンクーバー五輪の熱戦に、手に汗にぎったR25世代も多いのでは? スポーツを観ていて熱く燃えるのは、選手たちの戦う“理由”に共鳴するからだ。最強のライバル、ケガからの復活、国を代表する気概……全力で臨む“理由”があるから、選手はすばらしいプレイができる。それを目撃するから観客も感動する。そんなスポーツの“熱”を感じられる映画『シンデレラマン』を紹介しよう。

舞台は大恐慌時代のアメリカ。ジム・ブラドックは数々の戦歴を誇るボクサーだったが、年齢的に全盛期を過ぎ、ケガも重なってライセンスを剥奪されてしまう。ボクシングを奪われたジムは、何の資格も職歴もない無職の中年。世間はどん底の不景気で、日雇いの肉体労働にもろくにありつけない。家族が食べるだけの収入にも事欠き、妻は3人の子どもを実家に預けようとする。家族とともにいたい――それは男にとって、戦う“理由”となった。新進ボクサーのかませ犬としてリングに立つ、たった一度きりのチャンスにジムはすべてを賭ける。

本作が優れているのは、家族愛の映画としてだけでなく、ボクシング映画としてもきっちり作りこまれている点。ファイト・シーンのリアルさがあってこそ、ジムがいかに困難な関門に挑んだのか、ひしひしと伝わってくる。そして彼の戦いを、身をもって体験したかのように感じられる。奇跡は天から舞い降りるものではなく、みずから掴み取るもの。本作は、スポーツの最も根源的な意味を教えてくれる。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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