音色はいろいろ「住活」組曲

第9回 価格、リフォーム…。中古住宅の魅力

2010.04.01 THU

音色はいろいろ「住活」組曲

安くて、場所も選べて、自分好みの家にもできる!?



さて、中古のマンションや一戸建てと聞いて、やっぱり気になるのはそのメリット。単に古くて、少しは安いのかな、と思うくらい。でも、最近は中古住宅の人気が上がってきているという話も耳にするし…。ほかにも何かいいことあるのでしょうか? 『マンションは絶対「中古」を買いなさい!』(成美堂出版)などの著書もある住宅ジャーナリストの林直樹さんに、中古住宅のメリットや購入の注意点について聞いてみました!
人気エリアの物件を安く購入し、自分好みにリフォームして住むというのが、中古物件の場合は可能になるわけですね
「中古住宅のメリットは主に3つ。(1)価格、(2)自分好みにリフォームできる、(3)選択できる物件とエリアが豊富、という3点です。価格とは、中古ゆえの価格の安さ。日本の場合、家は築年数が経つごとに価格が下がっていきます。たとえば築20年のマンションなら、新築時と比較して少なくとも3~4割は安いと見ていい。物件によっては新築時の半額以下で購入できる場合もある。この差は大きいですよね。一戸建ての場合は、基本的に土地と家をセットで購入、ということになりますが、こちらも築20年以上経過すると、家自体、つまり建物の評価はほとんどなく、実質、土地だけの価格で家が買えるようなものなんです」

なんとなく安いだろうと思っていましたが、まさかそこまでとは…。ただ、年月が経って
いる分、部屋の中や設備がやっぱり古いんですよね…。

「それはそうですが、管理や修繕が行き届いていて状態のいい物件もありますし、そもそも部屋の中や設備は自分で変える、つまりリフォームすることができますから。これが2つ目のメリットですね。たとえばキッチン、バス、トイレ、洗面化粧台の4カ所なら300万円台で全部リフォームすることも可能です。さらに全面的に内装や間取りを変えるのも、700万~800万円くらいでできることもある。もともとの物件価格が安いわけですから、こうしたリフォーム代を合わせても割安感はあります。それにリフォームすれば自分の好きな間取り、雰囲気に変えられるわけですからね」

なるほど。安く買える分、結果的に低価格で自分好みにカスタマイズした住まいを手に入れられるってうれしいですね。

「最後の1つは選択できる物件、エリアの豊富さ。中古物件って、極端に言えばどこにでも出ているんです」

そうか! 新築物件はそのときに分譲されている物件からしか選べませんし、一戸建てを建てるにしても、希望のするエリアの土地が売りに出ているとは限らない。確かに中古の方が選択肢の幅は広そうです。

「対象となる物件が豊富ということは、選べるエリアも豊富ということ。たとえばすでに住宅街が形成されていて、新築物件が長い間出ていないし、今後も出そうにない、というエリアでも、中古物件なら売りに出ているケースがあるんです。どうしてもこのエリアに住みたい! という希望があるなら、中古住宅を探した方が断然、住める可能性は高いでしょう」

なるほど、エリアによっては新築物件がないケースがありそうですもんね。

「だから、中古住宅の中には、環境のよさなど立地が評価され、かつそのエリアにしばらく新築物件が出てこなさそうだと、建物次第では価値がなかなか落ちない物件も出てくるんです。そういったマンションは“ヴィンテージマンション”と呼ばれることもありますね。物件を選ぶ際は、そういった資産価値にも目を向けると良いでしょう」

中古物件だと、過去の取引事例がある分、どれくらいの価値があるのか目安もつけやすいですしね。ただ、ここでひとつ根本的な疑問。中古住宅って、どこで情報を得て、誰から買えばいいのでしょうか…それは後編で!

実際に建物や周辺環境を確認できるのもメリット



一般的に新築マンションの場合は、モデルルームがあったりするので、探し方、買い方の想像がつきます。でも中古住宅となると…。いったい、どこでどのように購入の相談をすればいいのでしょうか。

「情報誌やネット、それにチラシなどの情報をもとに、不動産会社や仲介会社に行って相談するのが一般的。大手から個人経営で地域密着型の会社までいろいろあります。ただ、中古物件の情報は不動産業者間に広く流通しているので、それほど神経質に不動産会社を選ぶ必要はないと思います」(住宅ジャーナリスト・林直樹さん)

では、中古物件情報のどこに注目すればいいのでしょうか?

「最近はネットでも詳細な情報まで記載してありますから、検索などを駆使すればネット上で物件を見るのも可能です。そこで気になる物件があったら、扱っている不動産会社にネットなどを通じて資料請求や内覧(物件の見学)の申し込みをしましょう。その際、これも中古住宅のメリットだと思いますが、新築物件と違って、すでに完成しているわけですから、実際の建物、周辺環境、雰囲気、交通利便性などを見て確かめることができますし、マンションだったら、情報を元に現地に見に行くこともできます。」

ところで、実際に物件を見に行くときには、どういった点をチェックすればよいでしょうか。

「まずは周辺環境ですね。“徒歩何分”の情報どおりに実際歩けるか、という点や、バスを利用する場合はバスの本数や時間も見ておくといいでしょう。あとは騒音など自分が気になるポイントもチェックした方がいい。マンションの場合は修繕履歴や今後の修繕計画について不動産会社を通してきちんと聞いておくことが大切。管理状況も植栽がていねいに手入れされているか、駐輪場は整然としているかなどから、チェックしておきましょう。一戸建ては将来の土地活用を考えて、建物だけではなく敷地の形などにも目を配るといいですね」

では、実際の住戸の中を見る場合のポイントは?

「築20年前後の物件であれば、リフォームが必要かどうか、汚れや傷み具合を見た方がいいでしょう。リフォームをするつもりなら、あらかじめ依頼するリフォーム会社も決めて、担当者に同行してもらってもいい。物件によっては、構造の問題で希望通りのリフォームができない場合もありますから」

え! 同行してもらってもいいんですか?

「ええ、よくありますよ。リフォーム会社だけではなく、たとえば親戚や知り合いに建築家や建築関係者がいれば、同行してもらってもいいと思います」

プロに見てもらえば安心して購入の決断ができそうです! で、本気で買う、となった場合なんですが…中古物件でも住宅ローンは組めるのでしょうか?

「組めますよ。実は昔は新築物件に比べて、築○年以上の物件はダメ、といった制限も多かったのですが、現在は新築物件で住宅ローンを組むのとほとんど差はないですね。それに現政権は中古物件の活用を促す方針を掲げています。たとえば建物検査をしたうえで中古物件をリフォームして購入すると補助金が出るとか、そういった制度の導入も検討されています」

そうなんですか! 最近、中古物件への注目度が上がっていると聞きますが、そういった条件の緩和などが一因かもしれませんね。それに、中古物件を活用するのは「エコ」的な印象もありますし。
中古住宅の場合、自分でリフォームすることを前提に物件を選べば、内装の良し悪しはいったん選択の条件から外してしまえばいいんですね
「今、古いモノを大切に使い続けたり、リフォームやハンドメイドで家に手を入れるようなスタイルが若者を中心に受け入れられつつあります。ちょっとレトロな家やライフスタイルがもてはやされたり、そんな時代の気分にも中古住宅は合うのでしょう」

安くて立地の選択肢も多くて自分好みの家にカスタマイズしやすい中古住宅。新築のようなピカピカ感はないけれど、メリットも多いので、じっくり検討してみたいですね! 日本の住宅市場ではこれまで新築住宅の供給がメインでしたが、人口減少にともない、今後は中古住宅の活用が注目され、市場にもより多くの物件が流通するようになるといわれています。そのような意味でも、中古住宅は「住活」における選択肢のひとつとして欠かせない存在になりそうですね。そうなると重要度を増していきそうなのが、今回も話題に出たリフォーム。というわけで、次回はリフォームのイロハ、最新事情について探ってみたいと思います!

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