こんどは「不死身の生物」創造に着手

米国防総省「DARPA」の歴代“トンデモ研究”とは?

2010.05.06 THU



写真提供/AP/アフロ
米国防総省が「不死身の生物」の創造に着手─。少しまえに海の向こうからこんな仰天ニュースが流れてきたのを知っているだろうか。なんでもバイオテクノロジーを駆使して「死なない人工生物体」を作り上げる研究らしく、この計画に来年度予算から600万ドル(約5億円)をつぎ込むというのだ。おいおい、正気か。ペンタゴンといえば米国の国防・軍事を統括する官庁。それがこんなSF的妄想を本気で実現しようとするなんて…。

だが、この仰天研究、ペンタゴンが着手といっても、じつは数多ある同省の研究部門でもとりわけマッドなことで知られる米国国防高等研究計画局、略称「DARPA」の計画だったりするのである。このDARPA、米軍から政策的にも予算的にも独立した大統領及び国防長官直轄の機関なのだが、その組織のあり方が特殊なら、やってる研究もかなり特殊。たとえば、これまでおこなってきた研究をいくつか挙げてみると、軍事利用に適した「空を飛ぶ車」、戦場で会話せずとも兵士同士が安全にコミュニケーションできるテレパシー技術「サイレント・トーク」、幼虫にチップを埋めて育て、偵察機代わりにする「虫のサイボーグ」(笑)などなど(その他のおもな研究は下の表参照)。

どうみてもトンデモ系かマッド・サイエンスにしか思えないのだが、そのうえさらに特異なのは、これだけ空想的な研究をしていながら、DARPAには職員が300人程度しかいないこと。そう、固定観念にとらわれずに自由な研究をおこなうという考えから、DARPAではすべての研究を一般公募という形でアウトソースしていて、その研究成果もぜんぶ公開しているのだ。実際、彼らは自前の研究施設も持たず、個々の研究は大学や企業の施設でおこなっている。

思えば、さまざまな科学的革新も当初は空想だと冷笑されたものだった。不可能と思える研究を支援する米国特有の開拓者精神は見習うべき…なのかもしれない。見方によってはマッド・サイエンティストに投資しているともいえるのだが(笑)。
(村木哲郎)


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