今週は“田舎の風情に触れられる映画”

やさしい島風のような映画『ニライカナイからの手紙』

2010.05.06 THU


登場人物たちの思いを全てセリフにしてべらべらしゃべらせるのではなく、無言の表情をしっかりと映像でとらえた演出も印象的 (c)2005 エルゴ・ブレインズ
世間はゴールデン・ウィーク真っ只中。とはいえ、仕事がたまっていたり、資金が心もとなかったりで、どこにも出かけられないR25世代も多いのでは。そこで心だけでも遠い島へと飛ばして、美しい風景とあたたかな人情に触れられる映画『ニライカナイからの手紙』を紹介しよう。

舞台は、沖縄の離島のひとつである竹富島。祖父とともに島に住む少女・風希は、6歳のときに島の船着場で母を見送った。それ以来、風希と母を結ぶのは手紙だけ。年に一度、風希の誕生日に母から届く手紙を励みにして、少女は成長してきたのだ。父の遺品であるカメラを手にした風希はやがて写真家を志し、高校を卒業して東京に出るが……。

まだハワイや沖縄本島のようにはリゾート化されていない、竹富島の素朴な美しさが全編の空気をおだやかなものにしている。その中で浮かび上がってくる、母の、祖父の、さらには島の人々の風希への思い。東京で風希が傷ついたとき、その支えになったのは母の手紙だけではなく、島というあたたかな“場”だったのだろう。島の描き方はどことなく寓話的だが、風希を演じる蒼井優の情感あふれる表情が、観る者の胸に切々と迫る。20歳の風希に届く最後の手紙には、誰もが涙を流すこと必至だ。

5月9日の母の日を前に、職場だけではない自分の“居場所”と、そこにいてくれる人たちの顔を思い浮かべてみるのもよいかもしれない。島のあたたかな風が、あなたの心にも吹き抜けるはずだ。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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