“超訳”版が27万部ベストセラー!

使いこなせばモテるかも? 「ニーチェの言葉」の使い方

2010.05.20 THU



写真提供/時事通信社
今年1月に発売された単行本『超訳 ニーチェの言葉』が売れている。19世紀末に活動し、20世紀となる前年に死んだドイツの哲学者ニーチェの思想から、現代人の感覚に合う言葉を紹介する内容で、2月に10万部、3月には27万部を超えたというから驚きだ。なぜこんなにウケたのか?

おそらくニーチェの言葉は、深い意味を知らなければある意味、非常にキャッチーでわかりやすいからなのだ。たとえば飲み会の席などで「もう会社組織の古い慣習にとらわれる必要ないんだよ。“神は死んだ”んだから」と一席ぶてば、キリスト教という西洋を支配する価値観を否定したニーチェの有名な言葉と相まって、何やら賢げに見える。あるいは「“愛せない場合は通りすぎよ”とニーチェも言ってるよ」と女の子を口説けば、もしかしたら後腐れのない関係になれるかもしれない。間が持たない時は“話題に窮したときに、自分の友人の秘密を暴露しない者はきわめて稀である”とさらりとニーチェを引用すれば、ただの噂話すら高尚に聞こえないこともないだろう。

ただし、これらはどれも、哲学的にかなりアヤシイ用法なので、哲学に詳しい人の前では使わない方が身のため。もっとも、世の中にニーチェの哲学を理解している人がそう多くいるはずもなく、会社の同僚との飲み会や女の子とのデートであれば、まあ無難に尊敬されて乗り切れるかもしれない。

ただし上武大学大学院教授の池田信夫氏に言わせれば、「そもそも、哲学者という一般にはおカタイ印象がある人間の言葉を利用して、何か自分を高く見せたり、格好をつけようなどという態度は、ニーチェの哲学からみれば、最も軽蔑されること」だそう。

確かにニーチェの威を借りて、デキる男ぶるのは快感かもしれないが、メッキが剥がれてしまっては逆効果。本当はたいして詳しくないことがバレないように、ほどほどにしておいた方がいいだろう。
(折橋蘭亭)


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