香港移住計画

第1回 香港って返還後、どう変わったの?

2010.06.10 THU

香港移住計画

返還後、香港経済が元気になったワケとは?



近年、経済的に目覚ましい躍進を続けている中国。万博が開催されている上海をはじめ、多くの都市が変化を遂げつつあります。なかでも、ここ15年ほどで激変したといわれるのが香港。
そもそも香港は、1997年にイギリスから中国へ返還され、150年間の植民地時代に幕を下ろしました。「返還」と一口にいっても、ある地域を治める国が変わるって大変なことですよね。親父がずっと英国人だったのが、突然中国人になって、叱り方も褒め方も全然違う、人種も違えば言葉も違うし、イギリスは資本主義、中国は共産主義と経済に対する考え方も違うわけだし…。人々の戸惑いも少なくなかったのではないでしょうか。

「そうですね。とくに資本家たちは、経済的な自由がなくなることを恐れました。そして返還の1~2年前、その多くがカナダやオーストラリアに移住してしまったのです」

こう教えてくれたのは、香港政府観光局局長の加納國雄さん。それって、香港のお金が大きく動いたってことですよね。大きな痛手だったのでは…?

「ええ。香港の資金の多くと流れがストップしたも同然ですから、同時期にアジア経済危機も勃発して結果的に経済は停滞しました。 しかし、2001年ごろから経済は上向きになり、2002~2003年ごろには移住していった人たちも資金も大半が戻ってきた。 現在では、ビジネスマンのサラリーも日本人の同世代と同等かそれ以上になっています」
香港特有の「一国二制度」やアジアと欧米をつなぐハブ機能に加え、近年の中国経済の成長、何よりも多くの人種が混在する人間のエネルギーが香港のパワーの源!
でも、どうして香港経済は復活できたのでしょう? その理由を教えてください!

「一つ目の理由は、ある国の一部の地域を一定の自治区とする『一国二制度』です。 香港政府は返還後に『香港特別行政区政府』となり、独自の「香港法」という法律を作り、その「香港法」に基づいて守ることにしました」

そして二つ目は、ビジネス経済面において香港が中国のGatewayとなり海外、ひいてはアジアと欧米をつなぐハブとして機能しているから。
中国の輸出入は多くが香港経由のため、貨物業で大きな収益を得られているんですって。

「ですから、近年の中国の経済成長による影響も絶大です。ちなみに最近、香港では日本食ブームで、香港は日本の安全・安心の農産物の輸出が、最大でトップなんですよ。」

また、中国進出を視野に入れたビジネスマンが世界中から香港に集まっているという事実も。
フム、香港はヒトとモノが絶えず入れ替わる町なんですね~。
そもそも香港は、イギリス植民地時代の名残りもあり、中国系以外にも、東南アジア系、イギリス人を中心とする欧米系が混在する人種のるつぼ。つまり、常に多くの人種同士が刺激し合うことで、 活気やパワーがみなぎっている、と加納局長。
返還後に落ち込んだ香港経済復活劇には、こうした香港特有のパワーも一つの要因なのかもしれませんね!

香港観光地化計画の意外な仕掛け人たち



1997年から13年、経済的に大幅なアップダウンを経ていまに至っている香港。実は、香港の経済状況を好転させた大きな要因に、観光業に関する変化が挙げられるらしいのです。
さて、それじゃあいったい、何が変わったんでしょう? 香港政府観光局局長の加納國雄さんにお話を聞いてみました。

「変化したのは、観光業に対する取り組みです。というのも、1996年以前は返還前の香港を一目見ようと多くのツアー客が訪れていました。実際に1996年には、日本人観光客だけで約230万人を数えています。しかし1997年になると、その数が約160万人に激減。当然、観光業による収益もガクリと落ちこみました。そこで、このまま観光収益が減り続けることに危機感を抱いた政府は、国を挙げて観光業に着手しはじめたんです」

その結果、政府は観光アトラクションの増強をはかりました。 例えば世界最大のブロンズ製屋外座仏とアジア最長のロープウェー、9ホールのゴルフコースやショッピングエリアを充実させて空港のエンターテインメント化を図ったりと、さまざまな策を打ったそう。2005年にディズニーランドを誘致したのも、観光スポット充実化の一貫なんだとか。いやはや、こう羅列してみると、確かにすごい力の入れようですね…。

「政府の意識だけでなく、人々の意識も変容しました。マナーなどの面はもちろん、企業も観光事業に対して積極的に協力するようになったのです。 一番いい例が、2003年に始まった『シンフォニー・オブ・ライツ』。毎晩20時にビクトリア・ハーバー沿岸で見られるイベントですが、 美しい夜景を演出するライトアップや音楽は、個々の企業が自費で行っているんですよ」
毎晩20時にビクトリア・ハーバーで見られる『シンフォニー・オブ・ライツ』は、今や香港屈指の観光スポット
このほかにも、たとえば、人足が遠のきやすい夏や冬に大々的なバーゲンが行われるのも観光客誘致のため。
とくに、香港では暑い夏のイベントに力を入れており、今年も7月末にチムサアチョイのウォーターフロントで開催される、ドラゴンボートレースを中心とした「サマー・スペクタキュラー」という大きなイベントを用意しているのだそう。
現在、香港は旅行・観光競争力アジア第2位(世界フォーラム2009年発表データより)。
この結果は、政府と民間の強い協力関係の賜物だったんですね! 移住したいなんていいながら、まったく知らなかった香港事情。
今回の取材で香港をかじってみて、ちょっとワクワクしてきちゃいました。
一つの地域でいろいろな国の人と触れ合えるのも面白そうだし、夢は広がるばかり…。
香港のこと、もっともっと知ってみたい!
これからも、魅惑の香港について調査を続けていきたいと思います!

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