今週は“お金の価値と使い方を考える映画”

笑っちゃうほど怖い映画『キャピタリズム マネーは踊る』

2010.06.16 WED


あくまでノリよく突っ込んでいくムーア監督の作風は、深刻なドキュメントでありつつ、お金を題材にしたエンターテインメントにもなっている
夏のボーナスの時期だが、ワクワクよりもビクビクに近い気持ちで待っているR25世代が多いのでは? うれしくなるような金額は期待できないし、かといって、いくらもらえれば自分にとって充分なのかもわからない……ぼんやりした不安感が、期待感を上回っているのではないだろうか。

そこで、お金というものの意味、そしてそのお金をもとに成り立っている資本主義社会について考えるきっかけになる映画『キャピタリズム マネーは踊る』を紹介しよう。『華氏911』『シッコ』など、現代アメリカ社会の病理をえぐるドキュメンタリーで人気の高いマイケル・ムーア監督の作品だ。

サブプライムローンの破たん、そしてリーマン・ショック以降のアメリカ。住宅ローンを払えずホームレス化する人々が続出し、1日に1万4000人が職を失っていく事態になっている。一方、その住宅ローンを証券化することで“投資という名のバクチ”を仕掛けたウォール街では、公的資金によって倒産を免れた証券会社の役員たちが、従業員の400倍=20億円に及ぶ報酬を受け取っているという。国民のわずか1%の富裕層が、95%の大衆よりも多い富を独占する社会――これは対岸の火事ではなく、日本が確実に歩んでいる道だ。

ムーア監督は、得意の「アポなし突撃取材」をウォール街の面々に強行。「$」マークをつけた大きな袋を持参し、「おれたち大衆から奪った金を返せ!」と詰め寄る。淡々と事実を積み重ねるドキュメンタリーより、テレビのバラエティ番組に近い手法には批判もある。だがその滑稽さは、「今の社会は、おかしなことになっている」という危機感の表れであることは間違いない。

ムーア監督が全面的に正しいわけではないし、経済のすべてを教えてくれるわけでもない。ただ、「あなたが、自分で、自分のお金について考えるきっかけ」が、ここにある。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト