今週は“政治のしくみを学べる映画”

自分と政治の接点を見つめなおす映画『選挙』

2010.07.07 WED


政治というと「何か巨大なもの」というイメージがあるが、ちいさな人間ひとりひとりが寄り集まって動かしていることがよくわかる (c)Laboratory X.INC.
目前に迫った参議院選は、「消費税10%」を筆頭に大きな話題が出揃った注目の選挙。ニュースや新聞などを見て、なんとなく気になっているR25世代も多いだろう。でも政治というのは、なかなか“身近な自分の問題”と感じられないのも事実。いつのまにか選挙が終わっていた……なんてことにならないように、政治と自分の関わりを見つめなおせる映画『選挙』を紹介しよう。

2005年秋、小泉政権下で川崎市議会議員の補欠選挙が行なわれた。自民党に白羽の矢を立てられ、立候補した山内和彦さんの選挙戦の一部始終を追ったドキュメンタリーが映画『選挙』だ。ところが山内さんは、切手コイン商を細々と経営してきただけで、政治についてはズブの素人。しかも選挙区として投入された川崎市宮前区には縁もゆかりもない。“地域に役立つ政策”など持てず、地盤も後援会もないまま選挙戦が始まる。

が、実際始まってみると、求められるのは政策ではなかった。「電柱にもお辞儀しろ」という党の指導のもと、ひたすらお祭りや運動会、老人会、バス停など人の集まるところに出かけていき、ただただお辞儀と握手を繰り返して「山内和彦です」と連呼する。かつて「ドブ板選挙」と呼ばれた、泥臭い選挙戦。自民党の大物議員たちの応援も得て、政治の話をしないまま支持を集めていき……。

本作を撮った想田監督は、「観察映画」を提唱している。ナレーションや音楽など、一般のドキュメンタリーを“盛り上げる”ために使われる要素を一切排除し、目の前で起こったことをただ撮影する手法だ。そこには監督からの「だから、こうするべき」というわかりやすいメッセージは存在せず、観た者が自分の頭で、自分は何をするのか考えなければならない。だがそれこそが、われわれ個人と政治の関係に必要なこと。他人事のようにニュースを見るのではなく、自分が政治と関わることができる場は、まさに選挙しかないことを思い出そう。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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