香港移住計画

第4回 カード1枚でどこでも!? 乗り物天国・香港に迫る!

2010.07.22 THU

香港移住計画

移動から買い物までできる「オクトパスカード」って?



ICカードの登場で、すっかり便利になった電車の乗り降り。2001年に導入されたSuicaを始め、現在ではいろいろな地域でICチップ入り交通カードが販売されています。

でも実はこのSuica、海外のある交通カードをヒントにして作られたという噂があるんです。それは、香港で使われている「オクトパスカード」。これって、いったいどんなカードなんでしょ? 『香港路線バスの旅』の著者、小柳 淳さんに聞いてみました。
オレンジ色をしたオクトパスカード。カード型のほかにも、同じ機能が搭載された腕時計、キーホルダー、ペンダントなどもあるとか。ペンダントは、むしろ不便なんじゃ…
「1997年に香港で導入された、路線バス、地下鉄、フェリーなど、香港の交通網のほとんどで使用できるICカードです。世界で初めて、SONYのFelica技術を起用したことでも知られているんですよ。いまではすっかり定着しており、発行数は人口の2倍を超えるそうです」

香港は、狭い地域に人口が集中し、複雑に交通網が張り巡らされている。こうした土地柄が東京と似ているため、Suicaの導入に大きな刺激を与えたのだろう、と小柳さんはいいます。

じゃあ、東京の交通網に慣れていれば、香港での移動も余裕しゃくしゃくだったりして?
「まぁ、なじめば大丈夫かもしれませんが…(苦笑)。香港の主な交通手段はバスで、500以上の路線が複雑に入り乱れています。東京の地下鉄よりも複雑かもしれませんよ?」

500以上!? そ、それはハードル高いかも…。

なお、「オクトパスカード」は交通網以外に、駐車場、パーキングメーターでも使用できるのだとか。利用できる個所は日々拡大しており、自動販売機はもちろん、コンビニ、スーパー、ドラッグストア、ファストフード店などなど数知れず…。もしや、香港って電子マネー王国なの?

「う~ん、まだまだ交通手段で使われることが多いですね。ただ、コンビニやスーパーでチャージできるのは便利ですし、現地に行くと日本よりもICカードで買い物をする人は多いなと感じますね。また、学校や企業によっては学生証、社員証と機能を一体化させるところも増えています」

ちなみに、「オクトパスカード」はSuicaと同じくデポジット制だが、ちょっと変わった便利なサービスがあるんだとか。

「たとえば、これから乗る区間の運賃がカードのチャージ額を超えてしまい、先にチャージをしなければいけないことってありますよね? 『オクトパスカード』の場合、そういうときにデポジット50ドルのうち35ドルまで借りられることになっているんです。そして、次にチャージをした際に、借りた分がデポジットに補充されるシステムなんですよ」

おぉ! つまり、たとえチャージがあと1ドルになったとしても、少なくとも家までは帰れるってことじゃないですか。このシステム、日本でも導入してほしいなぁ。

香港ではフェリーが重要な交通手段だったってホント?



ICチップ入り交通カード「オクトパスカード」で、ほとんどの交通手段が利用できる香港。広く普及しているこのカードが使えるものは、バスを中心に、フェリー、地下鉄、トラム(路面電車)など様々です。

香港の交通手段のなかで、東京在住のボクからすると不思議に感じるのがフェリー。しかし、『香港路線バスの旅』の著者である小柳 淳さんいわく、香港の人々にとってフェリーはごく日常的な交通手段だったというのです。

「その理由は、香港の地形と関係があるんですよ」

そういって、小柳さんが取り出したのは『香港街道地形指南』。道路と交通網が網羅されたガイドマップです。開いたページには、東側の香港島と九龍がありますが…。
市街地である香港島と九龍は、総面積にして約130km2ほど。東京でいえば中央区よりも少し広いぐらいの広さに当たる。ここに約702万人もの人が働いているとはオドロキです
「香港の市街地は、ビクトリアハーバーを挟むこの二つの区域。かつてから両側が都市として機能しており、お互いに行き来する必要がありました。ですから、香港の人々にとってフェリーは日常的かつ重要な乗り物だったんです。いまは、20世紀末に設備が整った海底トンネルバスを利用する人が多くなりましたが…」

香港島のトラムと呼ばれる路面電車ができたのも、都心部の交通の便をよくするため。その後、市街地が経済の中心地として機能しはじめると、少しずつ居住区も市街地の外へ広がっていったといいます。

「さらに20世紀に入ると都市化が進み、ビジネスの場がますます中心部に集中します。そこで、同時期に輸入されるようになった自動車を使い、バス交通が急激に発展したのです。いま、人々の主な交通手段はバス。実際に行けば、あまりに多くのバスが走っているのでビックリするはずですよ」

最後に、小柳さんに香港の乗り物の魅力を尋ねると…。

「まずは、とにかく効率のよさ。さらに、細かなネットワークとスピード感が魅力的ですね。香港の動きの速さを象徴していると思います。乗り物によって見える風景が違うのも面白いですよ。トラムで込み合った香港の街をゆっくり眺めるのもいいですし、ビクトリアハーバーを走るスターフェリーに乗って波に揺られていると、両岸に林立するビル群の真ん中にポッカリ空いた空間に不思議な小気味よさを感じられます」

確かに、海が街を二分しているなんて日本人にとっては未知の光景。ビル群のはざまでゆったりと波に揺られながら香港の歴史に思いを馳せる…なんてのも、オツな楽しみ方なのかもしれませんねぇ。 知らない土地での移動にドキドキしていたボクですが、
交通網がしっかり整っていると知って安心しました。

トラムやフェリーにも早く乗ってみたいなぁ。
「自分に必要な路線から、少しずつ行動範囲を広げていけば大丈夫ですよ」
って小柳さんも励ましてくれたし、香港内をバス旅行するってのも楽しそうだよなぁ~。
…ハッ!
いやいや、ボクは遊びに行くんじゃないんだ。
移り住んで生活していくためには、もっともっと知識が必要ですよね。

これからも、知られざる香港の魅力を見つけていきたいと思います!

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