オトコがハマる『チュノ~推奴~』

第6回 『チュノ~推奴~』で隣国の歴史を学ぶ

2010.10.14 THU

オトコがハマる『チュノ~推奴~』


冒頭でテギルに捕まった奴婢・オッポクは、物語のカギを握る重要人物。行動力があり身体能力の高い彼は、火縄銃の使い手だ!

厳しい身分制度が敷かれていた17世紀朝鮮



韓国ドラマ『チュノ~推奴~』は、17世紀中盤の朝鮮を舞台にした時代劇。“厳しい身分制度”に翻弄される人々をシリアスに描いているが、「両班」(ヤンバン)とか「奴婢」(ぬひ)って単語は、初めて聞いた! 作中では両班=貴族、奴婢=奴隷階級ってニュアンスだけど、当時の韓国の身分制度ってどうなっていたの? 教えて、先生!

「当時の朝鮮の身分制度は『良賎制』(ヤンチョンジェ)といい、一般的に『両班』、『中人』(チュンイン)、『常民』(サンミン)が“良”民で、奴婢が“賎”民に属していました。劇中に多く登場する両班は最上位の階層で、儒教を信奉して官史に登用される(科挙を受験する)特権を持ち、重要な官職と権力を占有していました。納税や軍役でも多くの優遇を受けていたようです。逆に奴婢は、人間でありながら国家や個人の所有対象で、財産の一部でした。劇中におもに登場するのは、個人所有の奴婢ですよね。彼らは『率去奴婢』と『外居奴婢』に区分されます。前者は所有者とともに生活し、経済活動や行動に制約を受け、オンニョンのように使用人にされるなど、各種使役に動員されていました。後者は比較的自由がありましたが、自分の主人に定められた年貢を収めねばなりませんでした」(北海商科大学・水野俊平教授)

胸や顔に“奴”という刺青を彫られた奴婢がたくさん出てくるけど、あれは「烙刑」(ナッキョン)といい、犯罪者や奴婢の処罰に用いられた手段なのだとか。

そういえば物語冒頭でテギルに捕まった奴婢・オッポクも頬に“奴”と彫られていた…ヒィ~痛そ…。ところで、テギルみたいに逃亡奴婢を追跡する「推奴(チュノ)師」は、本当にいたんですか?

「奴婢の所有者が奴婢に年貢を取り立てたり、逃げた奴婢を追跡したりする行為を“推奴(チュノ)”と言ったんです。当時は『推奴(チュノ)師』とは呼ばれていませんでしたが、村役人や良民出身の『推奴(チュノ)クン』(クン=「その職業をする者」という意味)や刑曹に属する『官奴婢』が、国家の推奴事業に参加していました」(同)

そうなんだ! ちなみに「推奴」で成果を上げると、テギルみたいに褒賞をもらえたり、官奴婢だったら身分が上がることもあったのだとか。

身分制度は19世紀末に廃止されたそう。それまで奴婢は人としての尊厳を与えられず、モノ同然に扱われ、大変な思いをして生きてきた…。厳しい身分制度があったんですね。『チュノ~推奴~』には、ほかにも意外な歴史的背景や文化の違いが発見できる場面がいっぱい。韓国時代劇には長編モノが多いけど、『チュノ~推奴~』は全12巻という手頃さも魅力。TSUTAYA限定レンタル中のDVDを借りて、物語を楽しみながら勉強してみよう!
テギルたちが宿泊している居酒屋は宿泊施設も完備。「当時酒を売っている店は『酒幕』(チュマク)といい、食事を提供し宿屋も兼ねているのが普通だったんですよ。テギルが寝泊りする居酒屋は漢陽(ハニャン・現ソウル市)にあるように、酒幕は交通の要所に集中していました」(水野先生)
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