香港移住計画

第14回 香港人に学ぶ、運気を上げる生活スタイル

2010.12.09 THU

香港移住計画


ラムさんのもとには、地元だけでなく日本からも有名な俳優や女優が助言を求めにやってくるとか。ラムさんの店は、九龍島の黄大仏というお寺の横の建物2階の150号室。建物内は100人以上の占い師でひしめき合っている

包丁型のビルを生んだ“風水”のホントのところ



香港の街では、ちょっと変わった建築をたまに見かけます。たとえば、ビルの先が包丁のような形をした「中国銀行タワー」。でも実はコレ、ただのデザインじゃないんです。何でも、運気を上げる意味があるんだとか…。

「そうですね。香港の人々は建物が風水的にどんな意味を持つか、とても気にするんです。『中国銀行タワー』が包丁のような形をしているのは、“悪い気”を切って避けられるように、という意味が込められています」

こう教えてくれたのは、九龍黄大仏で店を開く風水師のプリシラ・ラムさん。風水に沿って建築物の形まで変えてしまうなんて、日本ではあんまりない発想ですよね。そもそも、風水ってどんな考え方なんですか?

「環境、なかでも“気の流れ”を整えて、運気を上げようという考え方です。“気の流れ”は運気の流れだけでなく、人の流れやお金の流れも司っていますから、個人だけでなく企業や商業施設の繁栄にも大きくかかわってくるんです」

なんでも“気の流れ”を整える上で重視されるのは、周囲の風や水の流れ。特に風通しのよさは重要で、風通しが悪いと、悪い運気が逃げないばかりか、よい運気も入ってきづらいというのです。
部屋の隅にぶらさげておくと悪い気を吸い取ってくれるといわれるひょうたんの飾り。香港の人々の部屋ではよく見られるとか
ところで、環境を整えるって具体的にはどういうことなんでしょう?

「個人や企業にとって、その時期にもっとも運気がよくなる場所を選ぶということです。個人であれば住む場所、企業、商業施設であれば入居したり建築したりする場所ですね。とはいえ、『もっとも運気がよい場所』というのは個々に違いますから、香港の人々は引っ越しをしたり、建物を建築する前に必ず風水師に相談するんですよ」

風水師が助言するのは、その人にとってどの土地がいいか、どの部屋がどの方角に位置するのがいいか、どちら向きに建物を建てるのがいいか、などなど。…って、風水的なアドバイスって一人ひとり違うんですか? 

「ええ。もともと風水とは、人間の運命のうち1/3を方向づけるものでしかありません。運命の2/3は、生年月日と姓名で決められているものとされているんです。ですから風水とは、あくまで運気が悪いときはそんな悪くならない、運気がよいときはよりよく過ごせる場所を選ぶための学問なんですよ」

つまり、自分の人生と向き合い、どう付き合っていくかというのが、風水の真髄なんですね…。

でもせっかくなら、ボクらもその1/3の運を上げたい! すぐに実行できることって何かないですか?

「まずは、風通しをよくすること。部屋を片付けたり、オフィスのデスクを整理したりすることですね。それから香港の人々がよくしているのは、ひょうたんの飾りをつけたりヒスイ石を置いたりすること。どちらも、悪い気を吸いとったり解消したりしてくれるアイテムです」

ただ、これらも万能ではないですからね、とクギを刺されたボク…(苦笑)。やはり、もっとも学ぶべきは、自分の人生と向き合うという香港の人々の姿勢なんでしょうね。

サイン社会の香港で印鑑が持つ意味って?



飲食店やスーパーでもクレジットカードが使える香港。返還前のイギリス文化の影響で、役所や銀行の書類もすべてサインでOKだといいます。

そんな香港でお土産の定番とされているのが、「開運印鑑」。彫刻士がオリジナルのハンコを作ってくれるというのですが、印鑑社会ではないのに、いったいなぜ印鑑の文化が…?

「確かに、若い人々はほとんど印鑑を持っていません。ただ、40代以降になると話は別。それぞれ、固有の印鑑を持っていることが多いんですよ」(印鑑工房Tangsのルイス・タンさん)
ペニンシュラホテルの中2階に位置するTangsは、開運印鑑の店として有名。店内には、印鑑を彫るための石がズラリと並ぶ
タンさんいわく、サインが公のものだとしたら印鑑はよりプライベートなもの。手紙の最後や読み終わった本の最後のページに、自分の印を残したりするというのだ。また、知り合いに子どもが生まれたときや卒入学の際などに、お祝いとして印鑑を贈ることもあるのだとか。

でも、実際に社会生活で使うことはないんですよね。なぜ印鑑を所有する必要があるんですか?

「印鑑が『自分自身の存在や意思を強く示す物』として認識されているからです。だから、たとえ社会的に使わなくても、印鑑そのものに個人的な価値があるんです。というのも、中国で最初に印鑑ができたはるか昔、王が印鑑を押した文書を送ることは、王が直接会いに来たのと同じ意味を持っていました。王が押した判に王の存在が宿っていると考えられていたんですよ」

なるほど、印鑑はもともと王様の持ち物だったのか! だからこそ、ヒスイやラピスラズリなんかのいい石を使って印鑑を作るわけですね。

「そうですよ。掘る文字のデザインを運気がアップするようにアレンジするのも、印鑑の文化がそういう背景から生まれたからです」

そこから生まれたのが「開運印鑑」ってわけなんですね! なるほど…。ところで、運気をアップするデザインってどういうことですか?

「もっともわかりやすいのは、姓名の画数を調整する方法。まず『鈴木一郎』であれば、『鈴木』『木一』『一郎』の画数の総数を計算。次に、1~81にそれぞれ吉・中・凶を振った表と照らし合わせ、『吉』と『中』はそのまま、『凶』は一番近い『吉』か『中』となるように調整します」

中国では漢字の書き方に何パターンもあるため、画数を調整することが可能なのだという。香港および中国の人々は、普段から生活をよくしようという工夫のもとで生きているんですねぇ。

香港の人々の運気を上げるライフスタイルは、ミクロなレベルにとどまらない。なかでも、1月末から2月の初めに行われる地域をあげた旧正月は、一年の幸せを願う一大イベントだ。

旧正月になると、人々は花市で正月にちなんだ縁起のよい花々を買ったり、各家庭でお菓子を入れた丸い器を用意して来客をもてなしたりするのだそう。

自分だけでなく、周囲の人々とともに幸運をつかもうとする香港のライフスタイル。今度の旅行は、香港で幸運をおすそ分けしてもらっちゃう? 自分の人生と向き合いつつ、運気をアップさせながら暮らす香港の人々。
こうやって生きることを楽しもうという姿勢こそが、彼らの元気の源になっているのかもしれません。

さて、香港の隠れた魅力に迫ってきた「香港移住計画」も今回で終わり。
知識は十分に集まりました。
あとは、行動あるのみ!
そろそろ香港に移住する準備を始めたいと思います!

今回まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
次回は…、ぜひ香港でお会いしましょう!

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