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設定温度は適正なのに… 冬の満員電車はなぜ暑い?

2010.12.16 THU



写真提供/dpa/PANA
毎年この時期になると不思議に思うのが、冬の満員電車の暑さ。暖房はありがたいけど、正直暑すぎると感じる方も多いのでは? JR東日本によると、冬の車内温度は22度を基準に、適正温度になるよう管理しているとのこと。また、2000年から順次採用されている新型車両は、外気温や乗車率などをセンサーで検出して温度を自動調節できるという。でも、やっぱり暑すぎるんだけどなぁ。

「設定温度が適正なのに暑く感じてしまう理由は体感温度にあるんです」とおっしゃるのは早稲田大学創造理工学部の田辺新一教授。体感温度とは、人の体が感じる暑さ寒さを数量的に表したもの。気温だけでなく気流、湿度、代謝、着衣なども関係するという。つまり、気温が適温でも、他の要素次第で暑くも寒くも感じるというわけだ。では、電車内の体感温度はどう変わるのか。

「体が密着した満員電車では風が通らず、体感温度が下がりにくくなり、人体から発するふく射熱により暑くなります。また、人体からは水分が蒸発しており、これが車内の湿度を高くするんです。寒い日は電車の窓が結露しますが、あれはまさに湿度が上がっている証拠です」(田辺教授)

田辺教授によると、駅で乗客がどっと降りると急に涼しく感じるのも気のせいではなく、人が減ることで気流が生まれたり湿度が下がったりするからだそう。また、本来個々に調整できるはずの着衣も混雑した車内では脱ぎづらい。「満員電車は体感温度が上がる要素がこれでもかと詰まっているんです」(同)。

それならあらかじめ設定温度をもう少し下げれば…と思ってしまうが。

「満員電車は特殊な空間なんです。体感温度には個人差がありますし、乗車時間によっても感じ方は違います。現状では万人に合わせるのは無理があるんです」(同)

結局、混雑がなくならないうちは根本的な解決は困難ということ。ならばいっそ、この暑さを「冬の風物詩」として認めてしまうしかないのかも。
(山口 学)


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