今週は“男の夢を思い出す映画”

自分にとっての“夢”を確認する映画『おのぼり物語』

2010.12.22 WED


原作マンガ『おのぼり物語』(カラスヤサトシ/著)も、くすくす笑えて、じんわりと心にしみる傑作 (C)2010「おのぼり物語」製作委員会
今年も残すところ1週間あまり。あわただしく仕事に追われる中で、あなたは夢見ていた未来に少しでも近づけただろうか? そう問われて、Yesと即答できる人は多くないはず。そもそも、自分の“夢”は何だった……? 年明けから新たな一歩を踏み出すために、自分の夢を思い出させてくれる映画『おのぼり物語』をおすすめしよう。

大阪在住の売れないマンガ家・サトシは、何の当てもなく上京を決意する。人気マンガ家になりたい、という漠然とした希望と、わずかな荷物だけを持って。東京についてから住まいを探すという計画性のなさだったが、なんとか古アパート「松風荘」に転がり込むことに成功。一風変わった住人たちと交流しながら上京生活を楽しみ始める。しかし一週間後には唯一の連載誌が休刊し、「売れないマンガ家」から「無職」に。追い討ちをかけるように松風荘の取り壊しが決まり、父親は病に倒れる……サトシの夢の行方は?

いかにも映画!と思わされる、ドラマチックな要素は本作にはない。どこにでもあるような夢、誰もが経験のある不幸。東京という街はいつもどおり平穏で、一人の男が途方に暮れているだけだ。だがサトシは、マンガを描きたい、という夢を失わない。100万部のベストセラーでも、何億という収入でもなく、マンガを描いていきたい、というただそれだけの夢。人から見たら些細で、でも自分にとっては大切な希望が、彼にはある。

あなたの胸にある夢は、何だろう。国を動かす、ビジネスで大成功する、そんな大きな夢ももちろんすばらしい。だが、地味な暮らしをきちんと立て、身近な人を笑顔にする……そんな夢だって、同じようにすばらしい。つらいのは、自分の本当の夢はどちらなのか見失ってしまったときだ。だからこそこの映画を観て、あらためて自分の夢を確認し、来年の生き方を考えてみてはどうだろう。
(ダ・ヴィンチ編集部 関口靖彦)

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