気になる“あのコ”のシゴトーク

第21回 杉野希妃「映画で国も性別も越えたい」

2011.04.28 THU

気になる“あのコ”のシゴトーク


すぎの・きき 1984年広島県生まれ。06年『まぶしい一日』で女優デビュー。11年公開予定の『マジック&ロス』ではプロデューサーと主演を兼ねる。ちなみに休日の過ごし方は「やっぱり時間があれば映画を観ちゃいますね。でも今は時間がなくて。たまに大好きな友達とカフェに行ったりしてリフレッシュしています」 撮影:堀 清英

「肩書き以前に人としてどうあるべきか」――杉野希妃



「深田晃司監督とは2009年の夏に出会ったんです。監督の前作『東京人間喜劇』は、私がこれまで観た日本映画とは違って、フランスのヌーベルバーグの匂いを感じさせるような素敵な作品で。それで、『一緒にやりませんか?』とお声がけをしました」

この姿勢、見習いたいものだ。杉野希妃(きき)さん、27歳の若さにして映画『歓待』をプロデュースし、主演女優までを務める。

「初めは短編の脚本として読んだのですが、“余白”がある描き方だと感じました。そこに『共同体と排除の問題』などのテーマを入れつつ、『家族とは何か?』をあぶり出せたらと思って」

「共同体と排除の問題」とは、たとえば、ある共同体への移民と、彼らを排除しようとする共同体側の反作用のことだという。そんな要素がちりばめられた映画のあらすじはこうだ。下町で印刷所を営み、つつましく暮らす小林一家。ある日ひょんなことから小林家に住み込みで働きはじめた謎の男、加川が、日常を引っかき回し、大ごとになっていく…。ブラックユーモアたっぷりに描いた本作の感想を伝えようとしたところ、「観た後の感想は“それぞれ”であってほしい」というのだ。

「観る人の感情をコントロールするのって、ある意味暴力的だと思うんです。だからとらえ方は委ねた方がいいなと常々思っていて。その意味では成功かなと思います。ニューヨークで上映したとき、まったく想像していなかった観点から質問を受けてたのですが、意識していなかったので、衝撃的でしたし、うれしかったですね」
『歓待』 第23回東京国際映画祭日本映画・ある視点部門で「作品賞」受賞。ホームコメディかと思いきや…どんどん“おかしな”展開になる凄まじい作品。「『こう観てほしい』というのはないんです。でも絶対に面白いので、ぜひ観に来てください」と希妃さん。4月23日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか、順次全国で公開!
話を聞いていると、映画が好きでたまらないという印象である。プロデューサーという職業も、好きが高じて進んだ道。そうなった流れも、ごく自然だった。

「父が、映画も音楽も大好きで。その影響で弟は音楽に、私は映画の道に進もうと思いました。転機は、大学時代の韓国留学。私は韓国人なのですが、韓国の映画に良いものがたくさんあることを知って。でも韓国の言葉がわからないことにフラストレーションを感じていて、言葉を学びながら韓国映画に出られたらと思って」

韓国でオーディションを受けたところ、なんと合格。映画『まぶしい一日』で女優デビューを果たす。その後も出演を重ね日本に帰国。自分をアピールすべく、各国の映画祭を渡り歩くようになる。

「2007年に『クリアネス』という作品で、函館港イルミナシオン映画祭に参加したんです。作品のプロデューサーを務めて下さった小野光輔さんが、『今度マレーシアのヤスミン・アフマド監督と、日本とマレーシアの合作映画を撮る』とおっしゃって。私は1年前、東京国際映画祭でヤスミン監督の作品とティーチインを観て、こんな人間的に大きな表現者になりたいと思っていたんです。だから運命を感じて、小野さんに『イチからやらせてください!』と思わず言ってしまいました」

それが、プロデューサーとしての第一歩である。

「でも肩書き以前に、人間としてどうあるべきかを大切にしたいと思います。私は映画を通して、職業や国境や性別も越えて、いろんな人が共有できる文化や表現を残していきたいんです。大げさかもしれませんが、最終的な目標です。そこを意識しながら仕事をしていきたいですね」 気になる彼女について、知りたいこと、気になることがありましたら、右下の投稿ボタンから投稿して下さい。

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