アトム、ルパン、ヤマトにガンダム…

日本アニメを「音」で支えた音の魔術師・大野松雄とは?

2011.05.19 THU



(c)シネグリーオ2010
「ピヨピヨ」というヒヨコの鳴き声や「バキューン」という銃声くらいなら、文字にするのも難しくはないが…。たとえば、『サザエさん』のタラちゃんの足音となるともうお手上げ。しかし、文字にできなくても多くの人が“あの音”を頭に思い浮かべることができるに違いない。

このように、アニメや映画の世界では、現実には聞いたことがないのに、その音で正解!としか思えない効果音がよく使われる。こうした不思議な音は、いったい誰が生み出したのだろうか? その答えを教えてくれるのが、21日から公開される『アトムの足音が聞こえる』だ。主人公は日本で初めて「音響デザイナー」という肩書を名乗り、効果音の世界に革命を起こした大野松雄。『鉄腕アトム』や『ルパン三世(1st)』の音響デザインが、アニメでは代表作。映画や博覧会の音響デザインでも数々の功績を残しながら、ある日突然表舞台から姿を消した、伝説の人物である。

大野の最大の功績は、効果音に対する考え方。現実の音を模倣するのではなく、まったくオリジナルな効果音を創りだし映像を演出するという発想は、当時の業界ではかなり奇抜なものだった。作中でもそのテクニックの一部が披露されているが、シンセなんてなかった時代に、テープを逆回転させたりテープの表面を削ったりといった工夫を凝らし、この世には無い音を生み出していたのである。

冒頭で例として挙げたタラちゃんの足音や、『宇宙戦艦ヤマト』の波動砲、『機動戦士ガンダム』のモビルスーツの起動音といった、名作アニメにおける著名な効果音の多くが、大野に強い影響を受けた“弟子”たちの手によるもの。大野がいなければ、“あの音”は存在しなかったといっても過言ではない。これまであまり語られることがなかった、効果音の世界にスポットを当てたこのドキュメンタリー。アニメ好きならずともぜひチェックしてほしい。
(石井敏郎)


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