最新テクノロジーを駆使して再上映…とかいうけど

デジタル、HD…リマスターって?

2012.07.30 MON


「フィルムの劣化が進行すればデジタル化ができなくなってしまう可能性があり、芸術作品、文化風俗を伝えていくためにも、修復は重要なこと」と三浦さん。この夏、きれいに復活した名作を楽しむのもいいかも。 公開中の映画『ザ・ローリング・ストーンズ~』は、シアターN渋谷ほか全国順次ロードショー (c)1982-PROMOTOUR,B.V. 
『スタンド・バイ・ミー』(1986年)や『羅生門』(1950年)など、過去の名作映画が次々と“デジタルリマスター版”や“HDリマスター版”として復活中。7月2日からはライブドキュメンタリー映画『ザ・ローリング・ストーンズ レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー HDリマスター版』(オリジナルは1983年)が公開され、音楽ファンを喜ばせている。

ところで、“デジタルリマスター”と“HDリマスター”の違いは何なのだろうか。リマスターで、古い作品の画質や音声がきれいになる…というのはぼんやりと分かるのだけど、どんな技術なのか? 映像・音声の修復サービスを行うIMAGICAの三浦和己さんに聞いてみた。

「デジタルリマスターは、最新のデジタル技術を用いて、映画フィルムに生じた不具合を取り除き、その映画が初上映された当時の美しい映像を蘇らせる技術。“HDリマスター”はその中で、地デジやブルーレイなどで採用されている高精細度なHD画質でデジタル化され、処理が行われたものを指します」

HDリマスターは不具合を取り除いたうえで、さらに最新の画質に対応させたものだったんですね。それでは、どうやって映像や音声を“蘇らせる”んですか?

「映画フィルムは、アナログコピーが繰り返されたり、経年劣化が進んだりすると、キズや色あせなど、様々な不具合が生じます。そこで、フィルムをデジタル化した後、専用のシステムで不具合を除去し、場合によってはそのデータを再び映画フィルムに変換します。というのも、デジタルメディアでは規格が変わって再生できなくなってしまうことがこれまでたびたび起こっており、映像情報の保存には、100年以上フォーマットが変わらない映画フィルムが最も優れたメディアとされているんです」

なるほど。ところで、最近になってデジタルリマスター版が増えている理由とは?

「ひとつには、昨今のデジタル技術の進歩によって、早く、きれいに不具合を除去できる環境が整ってきたことが挙げられると思います。また、過去の映画フィルムの劣化が深刻になり、修復を必要とする作品が増えてきていることも影響しているでしょう。経年劣化による“色あせ”で、極端な話、夏のシーンが秋に見えてしまうなど、作り手の意図が正確に伝わらなくなる場合もあるんです」

単に「きれいに、見やすく」だけではなく、次世代に「正確に」伝える、という意味もあると。繰り返し楽しんだ名作映画も、公開当時の新鮮な画質で見ると、新たな発見があるかも?
(月川碧/blueprint)

※この記事は2011年7月に取材・掲載した記事です

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