経済と映画の意外な関係?

「不況=ホラー映画人気」の真相は

2012.09.18 TUE


全米で、ホラー映画史上のオープニング歴代最大・5400万ドルの興業収入を記録した『パラノーマル・アクティビティ3』が日本上陸。11月1日(火)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー (c)2011 by PARAMOUNT PICTURES.All Rights Reserved.
「不況になるとホラー映画が増える」──こんな噂を耳にしたことがないだろうか? 記憶に新しい例では、米国発のサブプライムローン問題が深刻化した07年10月、オリジナル版『パラノーマル・アクティビティ』が自主製作され、リーマン・ショックを経た09年9月から改めて映画会社の配給で公開。口コミで徐々に広がり大ヒットを記録した。そして欧州金融危機にあえぐこの11月、同作の3作目がとうとう日本でも公開される。不況とホラーとはなんとも奇妙な組み合わせだが、この噂、果たして本当なのだろうか?

「映画業界に長くいましたが、『不況だからホラー映画が増える』という直接的な因果関係は感じません。映画製作、配給には1~2年の準備期間が必要で、現実に起こっている社会現象をリアルタイムに反映するわけではありません」

といきなり“噂”を否定するご意見。そう答えてくれたのは、映画館の支配人や配給・宣伝業務に携わり、大ヒット作『バッファロー‘66』の仕掛け人としても知られる作家・荒井曜さんだ。

やはり不況とホラーは無関係なのだろうか。「ただし」と荒井さんは続ける。

「低予算のホラー映画は短い期間でゲリラ的に作ることが可能なため、時代状況を反映できるすばやさがあるかもしれません」

確かに、製作サイドの懐事情が苦しい時期には、予算不足から若手の監督が起用されやすく、全体の製作費もおさえやすいホラー映画が好まれるのかもしれない。

「そのうえ、“ホラー”というステロタイプな形式を利用すれば、もっと内在的な“不満”や“鬱屈”、閉塞状況への“破壊衝動”を表現できます。不況で資金もなく、『鬱屈した閉塞感を低予算映画でぶち壊してやる』という意欲は、そんなときに生まれるのかもしれません。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99年)など低予算ホラー映画の源流を考えても、ホラー映画の製作が経済状況に由来するかどうかはわかりません。けれど、仮説の検証は面白いかもしれませんね」(荒井さん)

結局、噂はあくまで噂でしかないのかもしれない。しかし、景気低迷が続く昨今、セカセカ働く手を休め、ハラハラドキドキのホラー映画を観てスカッとするのも一興かもしれない。
(ピーチ四葉/東京ピストル)

※この記事は2011年10月に取材・掲載した記事です

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