CD冬の時代の救世主!?

お持ち帰りCDが大人気のワケ

2012.09.06 THU


ディーアンドエーミュージック提供による、「お持ち帰りCD」製作当日の作業風景。「会場によっては、小さな控え室や楽屋の廊下口で作業することもある」と白川さん。お世辞にも良い環境とはいえないなかで、時間と戦うその姿はまさに“戦場”のようだ
昨今、音楽業界においては「お持ち帰りCD」というものが話題になっているらしい。これは、ライブ演奏をそのまま収録し、終演後にそれを受け取ることができるCDのことで、従来のライブ盤とは、販売までのスピードが圧倒的に違う。今年1月の奥田民生さんのライブでも販売され、大きな注目を集めた。この「お持ち帰りCD」、一体どのように製作しているのだろう。

「ライブ当日はとにかく時間との戦いです。ライブを収録したマスター音源が届いたら、きちんと録音できているか再生してチェックしつつ、専用の機器でCD-Rにコピーをしていく。そして出来上がったものから、事前に準備しておいたジャケットパッケージに包み販売する、という流れです。少しでも時間を確保するために、基本的にアンコールは収録せず、その間も作業を進めます」と話してくれたのは、「お持ち帰りCD」の製作を手掛けているディーアンドエーミュージックの白川幸宏さん。

「お持ち帰りCD」はライブ前に整理券を購入し、終演後に引き換える仕組み。価格は通常のアルバムと同程度の数千円だ。確実に売り切るため、会場収容キャパの1割から3割程度の枚数しか製作されないが、埼玉スーパーアリーナのように収容人数が1万人を超える会場でも即完売したという。「CDが売れない時代」といわれているのが嘘のようだ。

では、そもそも「お持ち帰りCD」の始まりはいつ?

大手レコード会社、EMIミュージック・ジャパンの高木亮さんによると。

「もともとヨーロッパでは“お持ち帰りCD”がひとつのビジネスとして成立していたんです。その手法を日本でも取り入れようと思い、2010年に開催した弊社の音楽イベント“EMI ROCKS”で企画したのが始まりでした。イベント後には、各レコード会社からの問い合わせが殺到し、なかには『お持ち帰りCDの技術は、特許を取っているのか』というような質問もありました」

それ以降、業界内での注目度は右肩上がりで、最近ではアーティスト側から「自分たちも作りたい」という声も上がっているそうだ。

「生放送と同様に、演奏の良し悪しがそのまま収録されるので、アーティストの中には緊張する人もいるようですが、ファンにとってはそれがたまらない。たとえ同じセットリストでも、会場によってノリや空気感が変わります。二度と同じものが手に入らないというレア感が“お持ち帰りCD”の魅力のひとつなんです」(白川さん)

9月頭には国内ではほぼ初と言える「お持ち帰りDVD」も販売され、非常に好評を博したという。今後これらの新しいサービスは、音楽業界の救世主となるのだろうか。
(磯田 大介/Office Ti+)

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