世界最速4000万部達成! 大人のおもちゃも売上UPの影響力

ハリポタ超え!官能小説メガヒット

2012.10.11 THU


本書の著者E.L.Jamesのオフィシャルサイト。ちなみに、本書は日本版Amazonでも10件カスタマーレビューがついており、うち7件が最高評価の5つ星。平均でも4.3という高評価を得ている(2012年10月2日時点) ※この画像はサイトのスクリーンショットです
あの『ハリー・ポッター』シリーズを抜き、世界最速で累計4000万部の売上を達成した話題のSM小説『Fifty Shades of Grey』(E・L・ジェームス著)3部作。映画化権争奪戦の結果、ユニバーサル・ピクチャーズが権利を獲得。ハリウッドでは今、誰が主役のクリスチャン・グレイとアナスタシア(アナ)・スティールを演じるかに注目が集まっています。

さらに、本作の影響と思われる現象も各所で話題に。フォーブス誌によれば、SMがテーマの一つとなっている同小説の効果で、セクシー下着やボンテージ関連製品、“オトナのおもちゃ”の売上も大幅に伸びているとか。“Fifty Shades”でネット検索すると、便乗商品(料理クラス、お茶、化粧品、衣服など)も山ほど出てきますから、その波及効果たるやかなりなものになっています。

ただし私見を申し上げると、これはSM小説ではなく、あくまで恋愛小説です。

同書のあらすじはすでにあちこちで書かれていますので、ごく簡単にだけ紹介すると――第1部は成績優秀だけど男と付き合ったことのない、ごく平凡な女子大生アナが、イケメンで大富豪、けれどもSMプレイを通じてしか女性と付き合えないグレイと惹かれ合い、付き合うようになるまでの葛藤のお話。第2部ではグレイの暗い過去、そしてSMに没頭していった理由が少しずつ明かされ、とうとう2人は結婚。第3部では結婚はしたものの、グレイの暗い過去が付きまとい、2人の障害となって立ちふさがる…というもの。

ではなぜこの小説がこんなに売れているのか? 本書の主要読者層とされる「40代既婚女性」の私なりに分析してみました。

(1)なんと言ってもグレイが素敵――容姿端麗、ハーバード大中退、27歳にしていくつもの会社を起業して成功している超金持ち。ピアノが弾け、キックボクシングの腕も立ち、フランス語が堪能、ダンスもうまい。上から目線でちょっと冷たいけど、陰のあるところも素敵。こんなオトコに耳元で囁かれたら、たいがいの女性はコロッとイッてしまいそう。作中でもいろんな女性がグレイにクラクラきている様子が描かれています。

(2)セックスが男目線じゃない――既存のアダルトコンテンツと比較できるほど官能小説やアダルトビデオに詳しいわけではありませんが、この手のものは一般的に男目線。でも本書はアナの一人称で、彼女の視点で書かれています。アナはグレイとそれこそのべつまくなしにセックスをして、快感を味わっている。「こんなセックスをしてみたい!」と、多くの女性読者が感情移入したのではないでしょうか。

(3)けっこうリアルでエロチックだけれど、そんなに痛くはなさそうなSMプレイ描写――SMプレイというと、鞭とろうそくがすぐに浮かんできますが(私だけ?)、この本に登場する一番痛そうな場面はせいぜいスパンキング(手やものさしなどで体を軽くぶつ)くらい。そして、グレイのマンション内にあるSMプレイルーム――手足を拘束するための「X」字の磔柱(はりつけばしら)、天井から吊り下げられたロープや鎖、壁にかけられた鞭、へらなどの体罰の道具、手かせ・足かせのついたベッドなどが置かれている――の描写は、読んでいるだけで「いったいこれで何をするんだろう?」と想像力をかき立てられます。

個人的に「これはエロい!」と思ったのは、(1)ノーパン状態で知人との食事に連れていかれる場面、(2)他人も乗っているエレベーター内で悪戯される場面、(3)糸で繋がった2個の金属球を“体内”に入れられたままのアナが、仮面着用のパーティーにグレイと一緒に出席する場面、(4)悪戯半分でいい加減に剃った陰毛をグレイに丁寧に剃り上げられてしまう場面…など。

文章は平易で読みやすく、すらすらと読み進められますが、正直なところ物語自体は3部作まで引っ張るほどの内容ではありません。それでもこれだけ人気があるのは、女性が公然と購入できる「エロ」が少ないからなのかもしれません。
(葉月ふみ)

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