聖地巡礼を超えるブームになる?

富山県で「地域限定アニメ」が登場

2013.06.28 FRI


『恋旅』を制作したのは、同市内に本拠地を持つアニメ制作会社P.A.WORKS。「実際に観た方からは、『この企画がなければ来なかった場所を旅できてよかった』『ストーリーが素晴らしく、恋をしたくなった』といった感想をいただいています」(山口さん) ©KOITABI~True Tours Nanto
最近、実在する特定の地域を舞台にしたアニメ作品、いわゆる「ご当地アニメ」が増えている。本来は作品の世界観にリアリティを与えることが目的だが、コアなファンたちが現地を訪れる「聖地巡礼」がブーム化したことにより、地域の知名度アップにつながる「町おこし」の効果も無視できなくなってきた。

なかでも極めつけのご当地アニメといえば、その地域でしか視聴できない作品だろう。アニメ作品は独立局やローカル局での放送が多いが、たとえばQAB琉球朝日放送でのみオンエア中の沖縄ローカルアニメ『はいたい七葉』は、そのクオリティの高さが沖縄県外のアニメファンの間でも話題となっている(その結果、現在はシリーズ第1期が全国放送中)。

人気を受け、“放送・配信エリア限定型”のご当地アニメを自ら制作する自治体も登場し始めた。富山県南砺市は、今年4月からオリジナルアニメ『恋旅~True Tours Nanto~』のエリア限定配信を開始。視聴にはワンセグ付きケータイのエリア放送か、専用のスマホアプリを使用するが、同地域内にいなければ観ることができない。つまり作品の「視聴」と「聖地巡礼」がセットにされた新しい試みなのだ。

「きっかけは南砺市の城端地域などを舞台モデルにした青春アニメ『true tears』という作品がテレビ放送されて以来、ファンの方々が多数来訪されるようになったこと。そこで、今度は南砺市全体でオリジナルのアニメとキャラクターを育てていこうと、今回の企画がスタートしました」

と語るのは、南砺市交流観光まちづくり課の山口泰弘さん。『恋旅』が公開されて以降、同市の観光施設を訪れる来館者数は前年比3倍以上に増加しているという。

「目的は観光振興ですが、まずは目の肥えたアニメファンの方も納得できるオリジナル作品を作り、それを通じて舞台背景へ興味を持っていただくことを第一に考えました。それと同時に、作中の舞台を巡るフォトラリーを催したり、アプリのAR機能を使ってキャラクターと一緒に記念撮影ができたりと、実際に現地に来ていただくことで楽しめる様々な取り組みをしています。アニメを観て終わりではなく、南砺の風土や自然を直接肌で感じることで、より一層『恋旅』の面白さを満喫して頂けるはずです」

こうした取り組みは他の地域にも広がる。たとえば、大分県別府市がタツノコプロとのコラボによる地域振興を推進しており、別府でしか見られないオリジナルアニメの上映を行うことが発表されている。「ゆるキャラ」による地域振興が浸透したのに続き、今後は「地域限定アニメ」の試みが広がっていきそうだ。
(呉 琢磨)

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