文化庁が出した意外な(?)結論

「パロディ規定」検討の結果は?

2013.08.02 FRI


イギリスでは現在、パロディにかかわる立法を検討する動きがある。もしも、イギリスで法制化されれば、日本でも改めて検討する可能性はあるが、そのままの形で取り入れられることはないと川内さん。また、今後、日本のパロディ文化に変化があったり、パロディを保護するべきとの声が上がれば、法制化を検討する可能性があるという
昨年7月から、日本における「パロディ」の法的なあり方について検討していた文化庁・パロディワーキングチームが、その検討結果をまとめた報告書を今年3月に公開。検討の開始当初は「パロディが法的に規制されるのでは!?」と話題になり、R25でもその議論を取り上げたが、検討の結果はどうなったのだろう?

文化庁著作権課の川内明日香さんに、あらためてワーキングチームにおける検討が始まった理由と、議論の経過を聞いてみた。

「現行の著作権法には、パロディを正面から規定した条文はありません。しかし、様々な著作物が創作され、流通している昨今、著作物をパロディとして利用する際の課題を検討し、必要に応じて法的な整備をすべきではないか――こうした指摘があったため、検討をスタートしました。そのなかで、諸外国におけるパロディの実態について議論するとともに、日本におけるパロディの実態を把握するため関係者からヒアリングを行ったところ、法制化には消極的な意見が多く見られました」

結果として、今回は「少なくとも現時点では、法制化はしない」という結論が出たそうだ。議論の流れを追ってみると、ワーキングチームでは仮にパロディを法律で認める場合、その対象となるパロディについて、1.「批判・風刺等の目的によるものをパロディとする考え方」、2.「ユーモア・笑い・滑稽等の追求を目的としたものも含めてパロディとする考え方」、3.「二次創作を広くパロディとする考え方」という3つの考え方がありうると整理。そこで、少なくとも1や2のなかで、元の著作物自体を対象とする批判や論評に目的を限定したパロディについては、「表現の自由の本質を尊重する観点から、法律で認めるべきではないか」という意見も出たという。

「しかし、1や2に含まれる、より限定したパロディを法律で認めるとすると、それがある種の“線引き”になりかねません。つまり、適法なパロディを明確化することで、『それでは、これまで業界の慣行や秩序のもと行われてきた3のパロディは違法なのか』という危惧が広がり、かえって新たな創作を萎縮させてしまう可能性もあるのです。近年では権利者、利用者ともに、パロディのあり方や著作権への意識に急速な変化が見られることもあわせて考えると、現時点では法制化するより、現行法の解釈などによって柔軟に対応すべきだという結論に至りました」

なるほど。3のタイプのパロディは、原作品のファンが愛着・敬意の表現を目的として制作していることが多く、権利者も一定の範囲にとどまる使用については事実上黙認している場合もある。法律で明文化することで、そうした関係が崩れてしまうことにも配慮した、ということのようだ。

とにもかくにも、ネット上で危惧されていた「パロディが規制される」ということは、当面なさそう。文化庁のサイトで公開されている報告書には外国でのパロディにまつわる裁判例や、各業界のパロディに対する見解などもまとめられており、なかなか読み応えがある。アニメやマンガの二次創作が好きな人は、一度読んでみてはいかがだろう?
(月川碧/bluerpint)

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