気になる“あのコ”のシゴトーク/131

美波が大切にする“余裕”とは?

2013.07.19 FRI


撮影:堀清英 ヘアメイク:HAMA スタイリング:有本祐輔
小林聡美にもたいまさこ、ネコ、さらにおいしそうな食べ物がいっぱいなんて、どこかで見たことのある座組だ。古くは『やっぱり猫が好き』、近年は『かもめ食堂』に『めがね』など、ほんわかした日常を描いた秀作ばかりが思い浮かぶという人は、少なくないハズ。WOWOWでこのたび始まる連続ドラマW『パンとスープとネコ日和』は、いってみればその“系譜”に属する最新作といえそうだ。

「そりゃ完成された“世界観”ですし、そのなかに入ることは緊張しますよ。だから、とにかく準備をしましたね。ただ、無理に溶け込もうとする必要はないんだって思っていました。そこにぎこちなさが出たら、それはそれ。そういう面もユキちゃんという役に求められた要素だと思うんです」

ユキちゃんとは美波さんが演じる喫茶ハッピーの店員。自分探しをするイマドキの女の子であり、いってみれば普通の人。だが登場人物の誰もが普通であり、むしろ当たり前の日常を切り取った点が本作の特徴なのだ。突然の母親の死を転機に、編集者の職を辞してパンとスープの店”を始めるアキコ(小林聡美)。それをとりまく商店街の面々。彼らが織りなす空気感は、実に心地いい。いわば、日常や心情の機微を楽しむ作品といえる。

「ただ、それぞれにそれぞれの役割があって、ユキちゃんは『人は移ろいゆくこと』の象徴なのかなって。作品のリズムを変えるスパイスなんだと思います」

作品のなかで自分の立ち位置をしっかり認識して、役に落とし込む。その姿は実に真摯だ。

「普通を描いているだけに、小さいところにはすごくこだわりました。たとえばネックレスも彼氏にもらったものだから小ぶりなものをセレクトしたり、『何かあったな』というのを暗に匂わせるために、口紅の色を変えたり歩き方を変えてみたり。スタイリストさんやヘアメイクさんとも相談しながら、自由にやらせていただいた感じはしています」

役作りは緻密そのもの。…と指摘してみたところ、さも当然とばかりに返ってきたひと言が「だって好きな仕事ですから」。

「ただ、余裕を持つことは常に大切にしていきたいと思っています。時間も準備も。焦っていると、勢いだけになっちゃうので。その反面、余裕があるとすごく楽しめますよね。できあがりはもう、ぜんぜん違うと思います」
(吉州正行)

  • 美波

    1986年東京都生まれ。2000年『バトル・ロワイアル』で女優デビュー以降、舞台「エレンディラ」「リリオム」「遭難、」「遠い夏のゴッホ」、映画「乱暴と待機」、ドラマ「有閑倶楽部」「下流の宴」「人間昆虫記」「トッカン 特別国税徴収官」などに出演し、TOKYOFM「スカパー!日曜シネマテーク」ではパーソナリティを務める。今後の出演作品として宮本亜門演出舞台「iSAMU〜20世紀を生きた芸術家 イサム・ノグチをめぐる3つの物語〜」の公演が8月15日から神奈川芸術劇場で始まる
  • 『パンとスープとネコ日和』

    映画『かもめ食堂』の原作・群ようこ、主演・小林聡美で贈る、日常を穏やかに力強く描いたドラマ。「忘れていたような、誰もが本来持っている人間的な気持ちを思い出していただける作品だと思います」と美波さん。7月21日(日)22:00からWOWOWでスタート!(全4話、第1話無料放送)

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